メールなら、年齢と性別の影響を最小化できる

カーネギーメロン大学のジェーン・シーゲルによると、私たちは、メールでやりとりするときには、対面のときに比べて、発言が少なくなるそうです。また、相手の話に割り込んだりもできないので、おとなしくこちらの言い分にも耳を傾けてくれるそうです。

対面で、年配部下とやりとりをしようとすると、相手をいたずらに感情的にさせてしまいかねません。

こちらが反対しようとすると、「この青二才め!」という表情をとってくるでしょうし、そういう顔を見せられれば、こちらもいい気はしません。

その点、メールであれば、こちらの姿も、相手の姿も、お互いに見えないわけで、年齢や性別の影響を最小限にすることができます。メールでのやりとりでは、じっくりと相手の言い分も判断できますので、感情的になりにくいのです。

年配のオジサマ部下は、なかなか扱いが難しいとはいえ、メールでやりとりをするようにすれば、そんなに感情的にこじれることもないと思います。リモートワークを有効に活用していくことがポイントです。

(参考)
・Athenstaedt, U., Haas, E., & Schwab, S. 2004 Gender role self-concept and gender-typed communication behavior in mixed-sex and same-sex dyads. Sex Roles ,50, 37-52.
・Siegel, J., Dubrovsky, V., Kiesler, S., & McGuire, T. W. 1986 Group processes in computer-mediated communication. Organizational Behavior and Human Decision Processes ,37, 157-187.

内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)、『羨んだり、妬んだりしなくてよくなる アドラー心理の言葉』(ぱる出版)など多数。その数は250冊を超える。