※本稿は、戸田久実『すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる~』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
短い言葉で繰り返して伝える
気分によって態度が変わったり、威圧的だったりする上司には、本当に直してほしいところを短い言葉で繰り返し伝える方法をおすすめしています。
例えば、指示内容を変えるうえに威圧的な態度の上司には、次のように伝えてみてください。
部下「指示内容が短いスパンで変わるので、やり直しが大変な状況です。変えるのであれば、期限の1週間前までにしていただけますか」
上司「だって、突発事項や急な報告が出てくることもあるじゃないか。そういう事情もわかるよね」
部下「はい、そういうこともあると思います。でも、変更はせめて期限の1週間前までにしてもらえると助かります」
上司「ええ? でも、そんなことを言うけど、いままではできたんだからなんとかなるんじゃないの?」
部下「いままではそうしてきましたが、今後は1週間、難しければせめて3日前までにお願いします」
「本当に困っている」を伝える
アサーティブ・コミュニケーション(お互いの主張や立場を大切にした自己主張・自己表現)の研修でも、一番わかってほしいことを端的に繰り返し伝えるというトレーニングがあります。繰り返し伝えることで、「本当に困っている」と本気度が伝わりやすくなります。また、「ここがポイントなのか」と相手の記憶にも残りやすくなり、問題の改善にもつながります。
気分によって態度が変わる威圧的な上司には、「この人は言うことがブレないし、結構本気だな」と思わせることが重要です。相手のペースで言い負かされないような伝え方を磨いていきたいですね。
できれば「1人」でポイントは「明確」に
上司にフィードバックする場合、1対1でも、メンバー複数名でも、伝える際のポイントは同じです。
ただ、部下が2~3人で、
「Uさんの、こういうところがダメなんです!」
と上司を責めてしまうと吊し上げになってしまいます。複数名で言うのは、相手のパワーが強すぎて言い負かされそうなときだけにしましょう。
1対1で言えるような間柄であれば、1対1で伝えるのがおすすめです。
伝えるときは、まわりくどくならないようにします。
「今後のチームのために、Uさんにわかっていただきたいことがあったのでお時間をいただきました。お時間を設けてくださってありがとうございます」
【NG例】
「こんなことをチーム長に言うのは本当に気が引けて、失礼なことになってはいけないと思ったのですが、誤解のないように…」
長く話しすぎると、ポイントが曖昧になってしまいます。話す前から要点をまとめておきましょう。