ビジネス競争力トップのデンマークで、イノベーションが生まれやすい職場にはどんな共通点があるのか。デンマーク文化研究家の針貝有佳さんは「雑談がある職場では、イノベーションが起こりやすい。デンマークでは、会議の冒頭に軽い雑談タイムを設けたり、週1回の朝食会を雑談タイムにしたり、職場に非日常空間を設けて良い雑談を促すなどの工夫をしている」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、針貝有佳『デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

オフィスで会議をする人たち
写真=iStock.com/FlamingoImages
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会議は冒頭の3分で決まる

コペンハーゲン市の会議でも3分の「雑談」の効用を活かしている。

コペンハーゲン市の職員として働くラーセン華子さんは、会議のファシリテーター役も務める。

そこでよく言われるのは、「会議は冒頭の3分で決まる」ということだ。

会議は「冒頭の3分」で決まる。

冒頭の3分に何も話さないと、その会議中に発言する心理的ハードルが高くなってしまう、というのだ。これは科学的にも証明されているらしい。

「軽い雑談タイム」の効果

そこで、コペンハーゲン市が会議を開催する際に、冒頭によく取り入れるのが「チェックイン」である。「チェックイン」の目的は、お互いを軽く知って、その場の雰囲気をなごませることである。

要は、冒頭に「軽い雑談タイム」を取り入れるというイメージである。

「チェックイン」には、色んな方法がある。

たとえば、質問を投げて全員に回答してもらう、トピックを与えて隣の人と話してもらう。

床に絵や写真を散りばめて「今年の夏を象徴する1枚を取ってください。それについて1分話してください」というチェックインをすることもある。

冒頭に「ちょっとした雑談」を入れることで、初対面の人同士でも、あぁ、この人はこういう人なんだな、となんとなくお互いを知れて、親近感が湧く。

冒頭に「雑談タイム」を設けると、会議の進行役が参加者のタイプを把握できるという効用もある。外向的でよくしゃべる人なのか、内向的であまりしゃべらない人なのか、会議前に把握できれば、司会進行もしやすくなる。

外向的な人はしゃべりながら考える傾向があるのに対し、内向的な人は考えをまとめるのに少し時間がかかる。話す内容はなんでも良いので、冒頭の3分で内向的な人にも話してもらうことで、全員が会議で発言しやすくなる。

会議の冒頭に「チェックイン」という名の「雑談タイム」を設けてみる。それだけで、みんなが発言しやすくなるのなら、試してみる価値はありそうだ。

ちなみに、チェックインの時間は、会議の長さや特徴に合わせて、5分や10分に設定することもあるそうだ。

ポイント 会議は冒頭3分に「雑談タイム」を!