チームの結束を実感できた「XFLAG PARK 2019」

姜 少眞(Kang Sojin)さん
写真提供=ミクシィ

マネジメントのうえでも失敗の繰り返しと苦笑する姜さん。それでもチームの結束を実感できたのが、昨年幕張メッセで開催した「XFLAG PARK 2019」だ。毎年ユーザーに感謝をこめて楽しむ場を提供するイベントをやっており、昨年から姜さんのデザイングループで特設サイトを作成することになった。メンバーは従来のサイトを徹底的に分析し、新たなデザインを提案。その結果、数値は大きく改善され、メンバーもやりがいを感じられた。2日間のイベントには4万人が来場する盛況だった。

「うちの会社は創業から理念がずっと変わらない。それは家族や友達などのコミュニケーションをさらに豊かにするサービスを提供すること。私はそこがすごく好きですね」

子育てを経験したからこそある今のマネジメントスタイル

姜 少眞(Kang Sojin)さん
写真提供=ミクシィ

日本を訪れてから、まもなく20年目になる。Webの仕事に魅せられ、言葉や文化の壁にぶつかりながらも挑戦を重ねてきた。日本で家庭を築き、子育ての大変さも味わってきたが、今はそれが仕事にも結びついている。

「マネジメントと子育てはかなり似ていると思っています。子育てでいちばん難しかったのは、言葉が通じない相手とのやりとり、そして自分がコントロールできない状況であるということでした。仕事は大人相手だから言葉は通じるけれど、それぞれバックボーンは異なるから、自分とは考え方が違う人間であることを理解することが大切。子育てもマネジメントも相手に成長して欲しいから、行動を促すことも一緒ですよね」

子育てを通して、自分も柔らかくなったという姜さん。小学一年生の息子はやんちゃで活発な少年に成長した。ものづくりが好きなところはママ似らしく、子どもが考える遊びやゲームに付き合わされている。週末、子どもが寝てからのフリータイムは夫婦でゆっくり過ごせるようになった。

あるとき、夫から一緒に観ようと言われたのが、韓国のベストセラー小説を映画化した『82年生まれ、キム・ジヨン』。結婚、出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われる女性の複雑な心情を繊細に描いた映画だ。「めっちゃ、泣きました」と照れる姜さん、夫も涙ぐんでいた。育児の苦労もよみがえってきたが、あの日々を乗り越えたからこそ今は子育ても仕事も楽しんでいるという。

歌代 幸子(うたしろ・ゆきこ)
ノンフィクションライター

1964年新潟県生まれ。学習院大学卒業後、出版社の編集者を経て、ノンフィクションライターに。スポーツ、人物ルポルタ―ジュ、事件取材など幅広く執筆活動を行っている。著書に、『音羽「お受験」殺人』、『精子提供―父親を知らない子どもたち』、『一冊の本をあなたに―3・11絵本プロジェクトいわての物語』、『慶應幼稚舎の流儀』、『100歳の秘訣』、『鏡の中のいわさきちひろ』など。