科学者が見つけた運がいいい人になる習慣

自分はツイてない人間だ──。

こんなネガティブな思い込みは、物事を複雑化させ、ムダな悩みを抱えてしまう原因になってしまうのです。

ケルン大学のダミッシュらの研究チームが行った実験は、“思い込み力”がいかに大切かを物語る例と言えます。

彼らは、参加者全員にパターゴルフをしてもらい、半数の人だけに

「あなたの打つボールはラッキーボールです」と伝えました。

すると、ラッキーボールと告げられた人たちのカップイン率は10球中平均6.75回、対して告げられなかった人たちのカップイン率は10球中平均4.75回と、結果に大きな差が出たのです。

なんとラッキーボールと告げられた人たちのほうが、カップイン率が35パーセントもアップしたのです。

運がいいと思い込むとパフォーマンスが上がる
出所=堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)

人は思い込みの力で自分を変えられる

ハートフォードシャー大学のワイズマンは、“いわしの頭も信心から”(信仰心が深いと、いわしの頭のようなつまらないものでも、尊く思えてしまうこと=プラセボ効果)は効果的であると説いています。

堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)
堀田秀吾『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)

ワイズマンの調査によると、自分が幸運だと信じている人は、新聞にさりげなく仕込まれた賞金がもらえる情報を見つけて賞金をもち帰る確率が高かったというデータがあるほどです。

同時に、「自分は運が悪い」と思っている人は、消極的かつ非社交的な傾向が強かったそうです。

プラセボ効果は一種の暗示効果でもあります。人は、なんの効果もない薬でも、効果があると言われたら実際に効き目が出てしまうように、思い込みの力でときに自分の体調を変えることができたり、自然治癒力をアップさせてしまうこともあるというのです。

ワイズマンは、運がいいと思い込むだけで周囲の視線も好意的なものへと変化し、生活に変化が表れると唱えています。

「運とは心がけと行動次第によって向上可能なもの」。

自分は運がいいと思い込むだけで、不安やストレスに悩まされる機会は減っていくのです。

堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学法学部教授

1968年、熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程、ヨーク大学ロースクール修士課程修了、同博士課程単位取得満期退学。言語学博士。立命館大学准教授、明治大学准教授などを経て、2010年より現職。専門は司法におけるコミュニケーション分析。脳科学、言語学、法学、社会心理学などのさまざまな分野を横断した研究を展開している。『科学的に元気が出る方法集めました』(文響社)など著書多数。コメンテーターとしても活躍中で、メディア出演も多い。