売れたとしても自分の力じゃない

「失敗と成功は同じ数ぐらい(笑)。バイヤーになりたての頃は例によって『私がなんとかしなきゃ』と気負っていたんですが、続けていくほど、周囲に感謝することを覚えました。売れたとしても自分の力じゃない。商品を作ってくれる人、販売してくれる人あってのことですから」

震災のあった2011年以降、アパレル業界が苦戦する中で婦人服の商品責任者、営業の部長職、出向を経ての広報部長、そして執行役員へと大きくキャリアアップしてきた。

「部長になったときは、女性がひとりだけなので、断崖絶壁に立たされたような気分でした。それまでが無計画すぎたのかもしれませんが、常に目の前の仕事にベストを尽くすことで、いつのまにかトンネルを抜け、結果は忘れた頃に付いてきた」

がむしゃらに、だが、出世欲はなくここまで来たという坪田さん。「より良く働くことがより良く生きることだと思ってきました。今は役員だからというより、会社員生活も終盤に入ったので、会社と後輩に何かを残したいという気持ちが強くなっています」と語る。その利他的な精神こそが、周囲の信頼を集めてきた一番の理由かもしれない。

■役員の素顔に迫るQ&A
リバティプリントの手帳

Q 好きな言葉、座右の銘
「あきらめたらそこで試合終了」
漫画『スラムダンク』に出てくる有名なセリフ。「作品自体は読んだことがないのですが、この言葉は好きです」

Q 趣味
美術館巡り、ライブ鑑賞

Q ストレス解消法
ヨガ、合唱

Q 愛読書
フィリップ・デュマ著『はじまりもなくおわりもなく

Q Favorite item
リバティプリントの手帳
「仕事中も女子の気分を大事にしたいので、花柄のものを愛用しています」

構成=小田慶子 撮影=干川 修

坪田 紅(つぼた・こう)
東武百貨店 執行役員 広報部長

1962年生まれ。明治大学卒業。88年、東武百貨店に入社。92年に特選売り場に、2000年に婦人服売り場に異動。02年、女性では唯一の婦人服バイヤーとなる。13年に婦人服第二部長に。18年より広報部長、19年に取締役に就任後、20年より執行役員。