会社ではできない、未経験の分野・役割に挑戦

「自分のスキルや経験を生かしたボランティア」というと、かなり専門的なスキルや、特定の分野での長い経験が必要ではないかという印象を受けるが、「定量分析などのテクニカルなスキル以上に、きちんとコミュニケーションを取り、議論を発展させていける力や、支援先の団体の課題にどれだけ関心を持てるかの方が大切」というのが富永さんの実感だ。「社会人経験が数年程度でも十分貢献できる」と強調する。

一方、簡単に異動や転職などがしにくい本業に対し、プロボノにはその時々で自分の関心事に近いテーマや役割を選ぶことができるという気軽さもある。

最終報告会後、コモンビートのスタッフとプロボノメンバー
最終報告会後、コモンビートのスタッフとプロボノメンバー(写真提供=サービスグラント)

富永さんの場合、最初は人事に携わる立場から「人の成長や変容」を促すコモンビートの活動に興味を持ち、業務分析を行う「ビジネスアナリスト」の役割でプロジェクトに参加した。コモンビートのプロジェクトを通してますますプロボノの可能性を感じるようになった今はサービスグラントの、支援団体とプロボノのマッチングシステム「GRANT」に関するマーケティング調査プロジェクトで、スケジュールを管理しながらプロジェクト全体を円滑に進行させるチームリーダー「プロジェクトマネジャー」を務めている。

マーケティング調査もチームリーダーの役割も、富永さんにとっては新たな挑戦だ。「会社と違い、職位や上下関係のない人たちの中でどうやってチームビルディングをすればいいのかは、大きなチャレンジです。また、本業ではマーケティングの経験がまったくないので、すべてが学びになっています」と話す。会社ではなかなか経験できないポジションや業務にチャレンジしてみる機会として、うまく活用しているようだ。