働き方改革が進む中で“子持ち様”論争が巻き起こるなど摩擦も増えている。お笑い芸人のパックンことパトリック・ハーランさんとエコノミストのエミン・ユルマズさんに、日本の働き方の問題点を語ってもらった――。
お笑い芸人のパックンさん(左)とエコノミストのエミン・ユルマズさん。
撮影=遠藤素子
お笑い芸人のパックンさん(左)とエコノミストのエミン・ユルマズさん。

日本の働き方の問題は教育の問題からつながっている

――日本では働き方改革が進んでいますが、日本人の働き方はどこに問題点があると思いますか。

【パックン】働き方の問題はおそらく教育の問題だと思います。日本はそもそも1人当たりの作業の効率が悪すぎる。ミーティングが長いことは有名ですけど、ミーティングで発言しない人がいることも問題です。

ずっと長くしゃべってる数人、ずっと聞いているだけの大勢。それは会議ではなく、講演会だろう。もっと人数を絞ってフットワーク軽くして、より早くプロジェクトが進むようにしてほしいですね。

あとは、これこそ教育の問題かもしれないですけど、後輩が先輩になかなか意見を言えない。それは、先生になかなか質問できない教育の雰囲気がそのまま会社に移っているからだと思います。

間違っていると思っても口に出せない。というより間違っているかどうかを考えない社員が多いと思いますね。そうなると、何十年も効率の悪いままになります。誰かが改善すればすべての制度がよくなって、何十億円もの利益が生まれる可能性があるのに、誰も口を出さないから変わらない。

口を慎みすぎる雰囲気と、効率が悪い組織運営がいけないと思いますね。

日本の評価にはインセンティブが少なすぎる

――エミンさんはいかがですか。

【エミン】僕が会社員をしていたころとは、働き方が少し変わってきていると思います。当時は残業が当たり前でしたが、いまはそれほどさせていないはずです。少なくとも一定時間以上の残業はなくなってきている気がします。いずれにしてもパトリックさんがおっしゃるように効率が悪いのは確かです。

もう1つは仕事の中身より外面のパフォーマンスで評価するところがあります。それも良くないと思います。たとえば、仕事単位で見ていないから、「仕事を早く終わらせた人は早く帰っていいですよ」という世界ではない、日本は。

仕事を早く終わらせるインセンティブがないし、他の人以上に成果を出すインセンティブもない。そもそも論としてインセンティブが重視されていないことに問題があると思っています。