夫がいても、シングルマザーでもしんどい

シングルマザーの方はとくに子育ての悩みが深くなります。そもそも子育てと仕事の両立が大変な中、ソーシャルディスタンスの影響で、ふだん手助けしてもらっている親に会うのが制限されたり、情報交換するママ友との交流がなくなったり、非常につらい思いを抱えている人が多い。加えて子どもの予防接種や検診がずれるなど、何もかも思い通りにいかないという感覚に陥る人が増えています。

意気消沈している女性
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夫がいたらいたでDV被害にあうし、シングルマザーはシングルマザーでしんどい。こういったことが女性の自殺につながる背景になっているのです。

もうひとつ大きな影響を与えているのが、芸能人の自殺です。今回に限らず、こうした報道が出た後は、特に同世代の人の自殺者の数が増える傾向にあります。「ウェルテル効果」といいますが、「同年代の人が死ねるなら自分も死ねる」と自分に重ねて、背中を押されてしまう。ですから、こうした報道が引き金になることは十分あるわけです。

何がイヤなのか、自分に問いかける

こうしたつらさに押しつぶされないようにするには、追いつめられる前に、日ごろからうまくストレスと付き合っていくことが大事になってきます。

そもそも今は、平常時ではないので、ストレスを感じて頭痛がある、イライラしてしまうといった反応は誰にでもあります。イライラしている自分は、ダメなんだと思うことはありません。イライラしている自分を受け入れたうえで、不安やストレスを感じたら、どう対処していくかを考えていきましょう。

おすすめなのは、ストレスを分析することです。まず今の不安は、何がイヤでそうなっているのか、自分に問いかけてみましょう。たとえば経済的な不安があるなら、何がイヤかと問いかけると「生活ができなくなるのがイヤ」「今までしなかった我慢をしなければいけないのがイヤ」など、自分なりの答えが出てきます。人によっては「乱れている自分の姿を見られるのがイヤ」という人もいるでしょう。

その答えは人それぞれですが、モヤモヤとした不安が整理されて、気持ちが解決に向けた行動に向かいやすくなります。

自分の不安を分析したら、次にその中で何ができるか、解決策を書き出してみます。経済的な不安なら「給付金を調べる」「おこづかいを減らす」「携帯電話の料金プランを見直す」など思いつく限り、どんどん書き出します。

その中で自分がコントロールできることとできないことがありますから、コントロールできることから優先して取り組んでいきます。緊急小口資金などお金を借りられる手段については、僕のほうから患者さんにお伝えすることもよくあります。

とにかく不安なときは、何をすればよいのかわからない状態に陥っていることがほとんどです。自分の不安を打ち消すためには、今、何ができるのか、具体的な行動に目を向けることが何よりも大事なのです。