【5】権力者の心をつかむ力

会社の権力者といえば、社長をはじめ役員クラスや理事、さらに部長などの未来の役員候補だ。こういった上層部を味方につければ社内政治力がアップすることは間違いないが、付き合い方を間違えると、身の破滅にもつながるので、慎重に行動する必要がある。また、時の権力者の派閥に入れば羽振りはよくなるが、派閥ごと転落する可能性もあるので、特定の派閥にどっぷりはまるのは避けるべきだ。

権力者に近づく5つの方法

経営層は、常に会社の業績を向上させたい、ライバルに勝てる画期的な新製品を世に出したい、など課題認識を持ち、実現するヒントや資源、アイディアを探している。提供できる情報の価値が高ければ、提供者の信用は高まり、頼られるようになるもの。簡単にいえば、価値のある情報の質と量を確保することで、権力者の心をつかむことができる。直属の上司ではない場合、頻繁に接点を持つのは難しい。そこでまずはリサーチが重要になる。

社長や役員が会社のウェブサイトやSNS、新聞などのメディアに露出していることがあるが、まずそうした記事や手記には必ず目をとおす。主要人物に近い人が自分の社内人脈にいれば、できる範囲で情報をもらい、今何を考えているか、誰と誰が対立しているかなどを把握しておく。さらに毎年確認しておきたいのが人事異動。新役員がもし自分が興味を持っている事業や専門分野に関心が高い場合は、チェックしておく。面識がない権力者に近づくには仕掛けがいる。例えばターゲットの専門分野の勉強会などを主催し、講師を依頼するなど。プロジェクトが動けば、情報提供や意見交換もしやすく自然に接点が増やせる。

そのほかには趣味や社内サークルなどで権力者と同席することも考えられるが、初回で心をつかめなければ先は難しい。その場に備えて自分が提供できてターゲットに価値がありそうな知見や情報、経営層が入手できない現場の意見などを意識してストックしておくとよい。

メンターに指名されて断る先輩はいない

メンターに指名されて断る先輩はいない

上層部に擁護者を見つけるには、思い切って直接アプローチしよう。「『企業人として成長したいのでご指導ください』と言われて断る人はいません。有能な人ほど多忙ですが、責任感が強いので、自分が手に負えない場合は、ふさわしい人を紹介してもらえることもあります。なかには『女性へのメンタリングの経験がないから』とおっしゃる方もいるかもしれませんが『男性に言っていることをご指摘いただければ十分です』と依頼すればいいと思います」(内永さん)

ターゲットを定める場合は、勝負に負け続けている人は避け、勝っている人を選ぶことも加味すべきだ。選球眼を養うためにも、いろいろな人を観察し、話を聞き、社内の情報通などからも情報収集をすること。