【6】社外ネットワークをつくる力

特にこれまで経験がない新しいプロジェクトに取り組む場合、社内のノウハウだけでは突破できないことがある。そんなときに威力を発揮するのが、社外人脈だ。不足している知識やノウハウを他社の人脈から短時間で得ることができれば、大きな壁も乗り越えることができる。ただし、外から新しい情報を持ってくるだけでは求められるイノベーションは起こせない。社内調整力や上層部にものを言う影響力、他部署を動かせる信用など、社内政治力があってこそ新しい仕事が動く。つまり社内政治力と社外人脈の両輪を持つハイブリッド人材になれれば、リーダーとして高く評価されるはずだ。

ではどうやって有益な社外ネットワークをつくったらいいのだろうか。出会いの場は社外の「情報交換会」「勉強会」「業界団体の会合」「セミナー」「SNS」など多数ある。手始めに名刺交換のときに雑談をして興味関心が一致したり、ネットワークに入ってほしかったりする人を情報交換会や勉強会などに誘う。人と仲良くなるには複数回会い絆を深めること、何回も会う中で知人や友人を紹介し合うことにもなり、人脈のすそ野が広がる。

また著名な人が主宰するセミナーや業界の勉強会、懇談会があれば参加して、意見交換をしたり、後日メールで相談などをしたりしてつながりをつくる手もある。業界団体に所属すれば、裏方になりスタッフとして仲良くなれるかもしれない。

利用価値が高いのはSNS。1度会った人と人脈を維持するのに実名登録制のSNSなどは便利。関係イベントもチェックできるうえ、直接コメントをすることで関係を保つことができる。SNSでは実際に会わなくても接触回数を確保でき、ターゲットのネットワークが目に見えるので、情報源にもなる。

一見、社交的な人が有利なような社外人脈だが、有益な人的ネットワークを維持するには、自分が社外に提供できる価値が必要だ。自分の社外価値を検証して、今ひとつウリがないという場合は、社外に出る前に、仕事や得意分野など、価値資源のレベルアップが必要かもしれない。

あなたの価値資源チェックリスト12

女性管理職は何をやっても目立つことを意識する

男性と同じように仕事をしても、圧倒的に人数が少ないぶん、女性管理職は目立ってしまう。地位が上がるにつれ、ますますその傾向は強くなる。当然失言も目を引き、後を引くので、意見を言うときは慎重に。言うべきことを言うのは大事だが、勢いに任せず一呼吸おいて、よく考えてから発言しよう。

「著名人の講演会で質疑応答の時間に先陣を切って手を挙げる女性がいますが、ちょっとハラハラします。どんなレベルで話題が展開するのか見定めて、3番目くらいに質問をするのが無難です。男性が多い場では女性は目立つし、失敗も目立ちます。会社のトップが集まる会合などでも、会社の金看板を背負っている女性管理職には慎重に行動してほしいと思うことがありますね」(内永さん)

一方で女性管理職は目立つということを逆手に取る視点も。

「かつて上司にマニキュアがはげているとたしなめられたことがありました。忙しくても髪を振り乱していてはダメ。外見にも手を抜かず、ツメの先まで美しく武装して優雅に働きたいですね」(内永さん)

構成=モトカワマリコ イラスト=佐藤ワカナ

芦屋 広太(あしや・こうた)
マネジメント・コンサルタント

財閥系金融機関の情報技術部門兼、販売企画部門担当部長。IT分野における国家試験対策の論文指導などコミュニケーション、マネジメント、思考力を指導する教育コンサルタント、コーチとしても活躍。『社内政治力』(フォレスト出版)など著書多数。

内永 ゆか子(うちなが・ゆかこ)
NPO法人J-Win理事長

1971年東京大学理学部物理学科卒業後、日本IBM入社。95年同社で女性初の取締役に就任後、常務取締役、取締役専務執行役員を歴任。2007年に退職後はベネッセホールディングス取締役副社長、ベルリッツコーポレーション代表取締役会長兼社長兼CEOを経て名誉会長に就任し13年に退任。07年よりNPO法人J-Winの理事長として、企業の女性活躍推進を支援。