目の前の仕事に集中しすぎると管理職にはなれない!? どんな力があれば組織のリーダーに推されるのか……。企業の現役管理職で社内政治にも詳しい芦屋広太さんに伺った。
ゴルフで上司にゴマすり/タバコ部屋の密談
イラスト=佐藤ワカナ、以下すべて同じ

社長と同じ本を読み、会社の未来を語るべし

社内政治というと「昭和な権謀術数けんぼうじゅっすう」を連想するかもしれませんが、実態は日々職場で地道に行われている信頼関係の構築です。会社員であれば、組織の中で仕事の自由度を上げ、敵を消すために誰にも必要な基本的ヒューマンスキルだと私は考えています。管理職になると実務だけでは足りず、部下をまとめながら、他部署や上層部と折り合い、チームの目標を完遂する力が求められます。上司の立場からいうと、実務能力があっても、全社意識が薄くて自分の仕事しか見ていない人は管理職に上げにくいというのが正直なところです。

管理職をめざすなら、自分の仕事が全体から見てどういう位置にあるのか、関係部署はどういう方針なのかなどを意識して仕事をするべきです。それには経営的視点から見るセンスを磨くこと。まずは事業戦略や、社内で起こっていることを知る観点で自社サイトや社内報、広報活動などを見ることです。情報が集まると主要部門の動きやキーパーソンが見えてきて、仕事の仕方が変わってくると思います。

ほかにも社長と同じ本を読んで課題認識を共有し、会社が歩むべき次の10年を考える、などもよいトレーニングになります。会議や懇談会などで会社の未来について意見を求められたときなど、機会が巡ってきたら、それを言葉にして発信する。同期などにも1度は熱く語っておくと「○○はこんなことを構想している」と社内で注目される可能性もあります。会社は、経営陣と思想を共有し、そこへ向かって芽が伸びている社員には目をかけるものなのです。