根回しが横行する現実は、まだまだ存在している

私は若い頃、組織よりも個人としての能力開発に熱心で、社内政治は面倒だと思っていました。しかし課長になった途端に他部署と意見が対立し仕事が難航。そこで主要部署の課長を束ねる飲み会を主催し、個人的に話す場を増やすと、「○○なら通ったのに」「大筋近いけど、提案が○○なら歩み寄れるよ」など、上役がいる会議での合意形成シナリオを事前に相談でき、仕事が順調に回るようになりました。

「タバコ部屋の密談」や「役員ゴルフ人事」など非公式の合意形成は昭和の遺物でアンフェアだと批判されますが、そうした場で組織が回るという現実は、令和の世の中にもまだまだ存在しています。また、社内政治で培われた仲間意識がキャリア形成で戦力になるのも世の常。派閥というとダークなイメージを持つかもしれませんが、組織で意見を通すには、数の力に頼らざるをえないのが現実です。

それは女性活躍でも同様。政府は指導的地位の女性を3割にという目標を掲げていますが、数の上で圧倒的に劣勢な過渡期ですから、女性が会社組織で大きな発言力を得るには、女性管理職の数をそろえるしかありません。現状多くの日本企業が男社会のセオリーで動いている以上、飲み会やゴルフでなくても、女性が参加しやすいランチ会や懇談会、勉強会などを主催し、業務外で交流をもつことで情報や人脈を集めることも頭に入れてほしいと思います。

女性たちよ、もっとうまく立ち回り、組織を動かせ

新型コロナ禍以後の世の中は地球環境や幸福度など、高次元の価値を反映するビジネスを打ち出せるリーダーがますます必要になってくるでしょう。後にリーダーになる人は、若い頃から高次元の思想をもって仕事をしているもの。自部門よりも会社、自社より日本、国内より世界を、現状よりも未来を見据えています。今活躍している女性リーダーの中にはこうしたことにけた人材が多いように思います。女性消費者の支持を味方につけて成功を積み重ねていくことで、世の中の価値観も変わっていくでしょう。しかし、女性が発言力を増すためには女性管理職の数が必要。社内政治力を磨き、女性リーダーを増やしていきましょう。

社内政治力チェックシート