コツ④ 女性のネットワークづくりを支援する

会社が、女性のネットワークづくりを支援することも大切です。

当社では、幹部候補となる女性を対象としたスポンサー制度よりももっと若い、20代後半から30代前半くらいの女性社員を対象とした、「ウーマンズ・キャリア・ストラテジーズ・イニシアチブ」というプログラムを設けています。一般の企業でいう課長職手前くらいの女性に向けた、リーダーシップやネットワーキング、プレゼンテーションスキルなどを学ぶトレーニングプログラムです。

これは単に、キャリアアップに必要なスキルを身に付けてもらうためだけのものではありません。日本だけでなく、インドやシンガポール、中国などアジア太平洋全般にわたって、さまざまな国や地域の人と一緒に受講するのですが、同じ会社で頑張る同世代の女性のネットワークづくりも目的の一つです。視野が広がり、励みにもなりますし、将来に向けて長く大きな財産になります。特に、女性の少ない業界・業種で働く女性にとっては、こうしたネットワークの有無が、働き続けるうえでの大きな支えになります。実際、ゴールドマン・サックスではこのプログラムを始めてから、女性社員の離職率が低下しました。

自分で自分の背中を押して

自分を過小評価してしまう、業績などをPRするのが苦手、などの傾向は、心当たりがあるという人も多いのではないかと思います。だとすれば、みなさんにとって、自分がやりがいを持って働き続けるには何が必要でしょうか。もし、「自分は会社から評価されていないのでは」「必要とされていないのでは」と考えることがあれば、実はそうではないことを知ってほしいと思います。社内に女性のネットワークがなければ、自分で作ってみるのも良いでしょう。そして、昇進の打診があれば、ぜひ自分で自分の背中を押して、チャレンジしてみてください。

ここでご紹介したコツが、今の職場について「何となく働きにくい」と思っている方、子育てや介護などに直面して仕事を続けるか心が揺れている方にとって、今の職場に何が足りないのか、どうしたら改善し、働き続けたいと思えるようになるのかを、見つけるヒントになればうれしいです。そしてもちろん、女性の部下の育成に悩んでいる人にも、参考にしてほしいと思います。

構成=池田純子

キャシー 松井(きゃしー・まつい)
MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー

ゴールドマン・サックス証券会社、元日本副会長およびチーフ日本株ストラテジスト。1999年に提唱した「ウーマノミクス」の概念はその後広く世界に浸透し、日本政府も女性活躍推進を経済成長戦略として打ち上げるに至った。多様性、コーポレートガバナンスと持続可能性を経済合理性の観点から分析し、多くの企業や投資家に影響を与えている。2020年に『女性社員の育て方、教えます』を出版。ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学院卒。