コツ③ 「スポンサー制度」を導入する

最近は多くの企業で、メンター制度を取り入れていると思いますが、ポテンシャルの高い、幹部候補となる女性にはそれを一歩進めて、「スポンサー制度」を採り入れてはどうでしょうか。

当社の場合、女性社員1人に対してスポンサーとして、その女性の所属部署ではないところにいる幹部クラスの社員が2人つきます。スポンサーになった人は、女性の上司から、本人の強みや成果、どんな改善余地があるかをヒアリングし、本人ともしっかり話をしてキャリアについてアドバイスします。例えばもし、彼女の能力が高く、成果も上げているけれど、担当している仕事の範囲が狭すぎるのであれば、「もう少し大きな仕事を担当してみては」「違うオフィスへの転勤を考えてみては」などと提案します。

スポンサーのもう一つの重要な役割は、その女性社員の成果や能力を宣伝して、自分の人脈を使って昇進のバックアップすることです。メンターが、女性社員を励まして主体的に行動を促す後方支援的な存在なのに対して、スポンサーは、より高みから女性社員を引き上げる存在と言えるでしょう。

男性の場合は、喫煙所や飲み会などで、若いうちからスポンサーの役割を担ってくれるような幹部と知り合う機会が多いのですが、女性はこうした機会が少ないものです。また、先ほども述べた通り、女性の場合はいくら優秀であっても、自分の業績や能力をPRするのが苦手な人が多い。そこを補完するのがスポンサー制度です。

スポンサーがついたからといって、その女性が昇進する保証は全くありません。ただ、スポンサーがついた女性は、「私は会社から必要とされている。会社は評価してくれている。私のためにこんなに時間を割いてくれた人がいる。頑張らなくては」と感じるようになります。先ほど、「女性は多めに励まして」と言いましたが、理由は同じです。こうして、“抱きしめられた”経験があれば、彼女が会社を辞めずに活躍し続ける可能性は高くなるでしょう。