ステップ3:プロセスを冷静に振り返る

「ダメ出しされた」ということは、結果に向かって「挑戦した」ということです。振り返ってみると、そのプロセスで何かを調べたり人に聞いたりしているはず。それは自分にとっては、かけがえのない財産で、挑戦する前よりも確実に成長しているということです。

またプロセスを振り返ると、失敗の原因も見つかります。業務上のことなら、そこがつまずきやすいポイントであるとわかり、戦略や手順を見直す手立てにもなりますし、それをチームで共有すれば、周りにとっても助けとなります。

こうしてプロセスを振り返ると、自分も成長しているし、人の役にも立っている、とポジティブな気持ちに切りかえることができますよね。

失敗してもあなたの価値は変わらない

最後に強くお伝えしておきたいのは、失敗したからといって、自分自身の価値が下がるわけではないということ。

自己肯定感が低い人ほど「失敗=自分の価値が下がった」という図式になってしまいがち。でも、たとえ失敗しても、失敗した人にしか得られない気づきや学びがありますし、そこで初めて自分の得手不得手など本当に大切なことが見えることもあります。

ですから失敗をダメなことと思い込んで、悪いほうへ悪いほうへ考えないようにしてほしいですね。

失敗してうまくいかない経験は誰にでもあります。失敗しても、あなたの価値は変わりません。60点の姿も「それが自分」と、ありのままの自分を大切にしようと思う気持ちこそ、自己肯定感を底上げする大事な根拠であると知っておきましょう。

ありのままでOKと思えるようになるための新習慣

それでもその根拠が、なかなか自分で見つけられないという人は、「カラーバス効果」を活用することをおすすめします。カラーバス効果とは、ある一つのことを強く意識すると、それに関する情報が集まってくる現象のこと。

たとえば、朝起きたときに「今日は赤いものを意識して探そう」と思うと、他人の赤い口紅、看板の赤い装飾、目の前の赤いボールペン……、いつもは意識しないような「赤いもの」が次々と見つかります。

自己肯定感が下がったときは、このカラーバス効果を応用して、「今日は自分の頑張っているところを探そう」と意識して一日を過ごしてほしいのです。

そうすると「予定より早く仕事を終わらせた」「雨でも会社に行った」など、自分の頑張っていることがたくさん見つかります。

私もふだんからけっこう頑張っているんだなと思えれば、自分を大切にする気持ちが強くなり、自己肯定感アップにもつながっていきますよ。

構成=池田純子 写真=iStock.com

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務