先に変わるのは政治家か、官僚か

今回のアンケートの回答者は20代から40代が中心で、若い世代の意見が多く寄せられています。もし、同じアンケートを国会議員に行ったら、おそらく回答するのは70歳以上だけか、そもそも回答する人がいないかどちらかだと思います。

国家公務員は試験を受けてキャリアをスタートし、60歳前後で退職するので、常に新しい人材が入ってきます。対する国会議員は平均年齢が50代後半で圧倒的に男性が多く、日本の人口構成とはまったく異なる特殊な集団です。官僚のほうがまだ社会の変化に開いているように思われます。

アンケートに回答した官僚の約4割が、“過労死ライン”と呼ばれる残業時間単月100時間を超えていました。官僚の世界で出世コースに乗っている人たちは、非常に厳しい働き方をしています。政治家との関係は大事ですし、部署によっては関係する政治家が大事にしている業界団体や、自分たちが担当している団体との会合にも参加するなど関係を良好に保つことが求められます。プライベートな時間はあきらめなくてはなりません。官僚のトップに女性が少ないのは、こうした働き方の問題も大きいと思います。

ただ、若手の官僚たちは、昔ながらの働き方に違和感を持っています。そこまでして出世したくないと考えている人も多い。それを希望と呼べるかはわかりませんが、先に変わるのは国会議員ではなく官僚だと思います。

政治家の世界にも変化の兆しが

今、日本では女性議員を増やさなくてはという意識が高まっています。メンバー構成が変われば今後の変化に結びつくでしょう。子育てする議員が男女とも増えましたし、少しずつ変わっていくのではないかと思います。

今年1月、小泉進次郎環境相が育休を取った際、批判する声も上がりましたが、環境省のテレワーク化が一気に進むきっかけになったようです。やはりトップの行動は組織の雰囲気を左右します。当時、子育て中の女性の中で「小泉大臣の育休取得を応援しよう」と署名を集める動きもありました。男性の大臣が育休を取れば、社会への影響も大きい。そもそも60代、70代の高齢議員にはできないことです。子育て世代の若手大臣がロールモデルとして世間に受け入れられ、堂々と仕事ができる政治になることが大事だと思います。