小泉大臣の「育休」で躍進した環境省
今回の調査結果では、省庁によってデジタル化の進捗に大きな差があったことがわかりました。「大臣とのレクが電話やオンラインに移行したか」「大臣レクにおけるペーパーレス化が進んだか」という質問への回答を見ると、1位の環境省と2位の経済産業省が、他の省庁を大きく引き離しています。
特に環境省は、原田義昭前大臣の頃から頑張っていましたが、小泉進次郎現大臣になってここ1年ほどで躍進したという印象です。女性活躍とデジタル化の進捗は、長期的には連動してくるでしょうから、環境省では女性活躍の方も伸びるのではないかと思います。
環境省でデジタル化が一気に進んだ要因は、実は1月に小泉進次郎大臣が育休を取ったことにありました。
省のトップである小泉大臣が自宅から会議に入るので、幹部以下の職員も「対面でなければ」と忖度する必要もなくなりましたし、オンライン会議に慣れるしかありません。当初はさまざまなトラブルがあったそうですが、大臣から叱責されることはなく、足りなかった回線や機器などのインフラを順次整備していったそうです。これがいわば予行演習となって、新型コロナの緊急事態宣言下でも、スムーズにオンラインに移行できたわけです。
小泉環境相はこの結果について「(1月の育休については)賛否両論あったし、自分でも迷う部分はあったけれど、それがコロナ禍のテレワークに繋がったのであれば本当によかった」と話していました。また、デジタル化の推進については、ご自身の独りよがりではなく、本当に職員から評価されているのか、日常の実態まで変わったのかどうかが非常に気になっていたそうで、私たちの調査が「第三者から通知簿をもらったような形だったので、よかった」とコメントされていました。
1回線を3人で分け合う「ひもじい」ネット環境も
一方で、中央省庁のネットインフラがあまりにも整っていなかったことは驚きでした。例えば厚生労働省では、子育てや介護でリモートワークをする職員を想定した環境しか整えておらず、全職員の3分の1の人数分しか回線が用意されていませんでした。このため、コロナ禍でのリモートワークでは、1つの回線を、朝から「あなたは○時から○時」と3時間ごとに区切り、「一杯のかけそば」のように3人で分け合うという、ひもじいネット環境に置かれていたそうです。
また、情報通信政策をつかさどるはずの総務省では、20代職員から「省内職員の多くが同時にテレワークしているからか、テレワーク時の通信環境が劣悪。ひどいときは1通メールを送るのに30分近くかかる」という声もあがっていました。