在宅勤務中に上司がプライベートの領域に踏み込んできたり、強くあたったりする「リモートハラスメント」が増えているという。企業の人事部長たちが明かすその実態とは。そして、被害者が泣き寝入りしないためにできることとは――。
女性社員
※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokouu)

意外と多いリモハラの実態

新型コロナウイルスの第2波の感染拡大で再び8割出社制限と同時にリモートワークに踏み切る企業が増えている。第1波の時は通信環境の不備や労働時間の管理など在宅勤務ルールが未整備なままリモートワークに突入した企業も多かった。

最近では通信環境なども整備され、以前よりは在宅ワークに慣れてきた人も多いが、一方でリモートワーク特有の労働問題としてパワハラ、セクハラなどのリモートハラスメント(リモハラ)も発生している。IT企業の人事部長はこんな事例を紹介する。

「ある部署のチーム内のZoomのミーティング中に先輩社員が後輩の社員にふざけて『彼女が部屋にいるんだろう、紹介しろよ』と何度も言い、怒った後輩がZoomを切ってしまったそうです。最初はちょっとした笑い話かと思いましたが、別の部署でも『奥さんに挨拶したいから、顔を見せてよ』と言ったという事例もある。リモートワークで仕事とプライベートの境の区別がつかない社員もいますし、リモートワーク中の禁止事項など、新たなルールを設ける必要を感じています」

たとえ在宅であっても勤務時間中であれば職場であり、本人が嫌がる行為を何度も繰り返すとパワハラに当たる。