在宅の部下をZoomで呼び出す“毎日出社部長”
管理職の中には在宅中の部下がちゃんと仕事をしているのか不安でしょうがないという人も少なくない。中には顔が見えるオンライン会議を一日に何度も行い、結果的に部下の仕事を妨害してしまう上司もいる。
広告業の人事部長は会社でこんなことがあったという。
「出社制限下でも毎日出社している部長がいます。職場に部下がいないと安心できないのか、しょっちゅう在宅の部下をZoomで呼び出しているそうです。あるとき特に用事もないのに『皆出て来い、元気か?』と呼び出した。女性社員の一人が化粧をしたくないのでマスクを着けて顔を出したら『なんで家にいるのにマスクをしているんだ!』と叱られたそうです。女性社員にとっては余計なお世話です」
この事例もプライベートな領域に踏み込んだパワハラに近い行為だ。また、上司の頻繁すぎる連絡や仕事をちゃんとしているかを確認するために常時監視するような行為は部下に過度のストレスすら与える。
8割の部下が上司にストレスや不快感
ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が実施した調査(2020年5月22日)によると「在宅でのテレワークに際して、上司とのコミュニケーションでストレスや不快感を感じたことがあるか」との質問に「何度もある」と答えた人が41.8%、「ある」が37.2%。合計79%に上る。
不快感やストレスの内容については「やたらとWeb会議をやりたがる」(38歳)、「仕事をさぼっていないかいちいちチェック」(38歳)、「Slack上での言葉がきつい」(31歳)といった声が挙がっている。
また、テレワーク中に上司から受けた行為で最も多かったのは「常に仕事をしているのかの連絡や確認」(46.4%)、次いで「オンラインでのプライベートに関する内容の質問」(40.0%)である。プライベートに関する質問は、仕事の進捗状況の管理や在宅で仕事をする部下を気遣うために、上司の職責として一定の範囲内は許されるだろう。だが、頻繁に監視したり、過度にプライベートに踏み込んだりすることはハラスメントと受け取られる可能性も高い。上司の行為の中には「リモートでの会議の場での強いあたりの言動」(23.6%)、「参加したくないリモート飲み会への勧誘」(21.8%)といったパワハラに近い行為もあった。