バイアスがあることを責めてはいけない

もっとも、バイアスは無い方が良い、自分には関係ないと思い込んでいる方々に対して、「バイアスがある」という事実だけを突きつけても、なかなか受け止めてはもらえません。責められたと感じて拒絶反応を起こす方もいらっしゃいます。

この場合、「日本の管理職の方々のデータを見てください。みんなアンコンシャス・バイアスがあります。あなただけではないんです」という趣旨のアプローチに変えることで、受け止めやすくなります。無意識バイアスは脳の機能であり、なくてはならないものでもありますが、「時にマネジメントの場面で悪影響を及ぼすことがある」ということを理解していただく必要があります。

気づきを最大化する“宿題”とは

2)のステップの中では、実地で行う宿題も出します。たとえば、「職場の会議の場で、性別や年齢、属性の違いによって発言の頻度や周囲の反応に違いがあるかどうか観察してきて下さい」といったものです。

会議中の出席者を客観的に観察してみると、普段意識していないこと、たとえば年上の人が発言していたら若手が話しづらくなっているなあ、とか、管理職が意見を求めるのは女性より男性が多いなあ、などが見えてきて、周囲の人たちにもアンコンシャス・バイアスがあることに気づくことができます。このような、客観視のアプローチを何度か行うことで、ご自身の中にもアンコンシャス・バイアスがあることに気づき、受け止めることができるようになってきます。

そしてステップ3)では、最終的に自分がどのようにしてアンコンシャス・バイアスをコントロールしていきたいかを宣言し、行動し、そして実際にはどうだったのかを振り返るプロセスがあります。