経験の差が実力差につながり、昇進差として現れる

これまで私たちは、「女性を活躍させたい」という企業様からお話をいただいて、女性の働き手に対して色々な支援を行ってきましたので、性別に関するアンコンシャス・バイアスには特段の関心を持ってきました。

アンコンシャス・バイアスは、色々な面で女性が活躍する可能性を阻んでいます。「女性はサポート的な役割が向いている」と、「女性は仕事ではなく家庭を重視すべき」の2つがその代表です。女性側にも管理職側にもこうした意識はあるもので、女性本人はそれに縛られるし、管理職の場合は女性部下への過度の配慮という形で現れます。アンコンシャス・バイアスを定量化できるIAT(Implicit Association Test)というテストで取ったデータには、それが如実に現れます。

今、コロナ禍でリモートワークの働き手が急に増えています。その中で、小さなお子さんがいる女性に対する「自宅で仕事をするのは難しいだろう」という配慮が高じて、仕事の打ち合わせにも呼ばれなくなる、ということがあります。実際にはお子さんを旦那さんが見るなど、対応できることも少なくないのですが、アンコンシャス・バイアスゆえにこういうことが起きてしまうのです。

こうした状態が続くと、実地での仕事の機会提供がなされないために、女性本人の育成が進まず、男性の同僚との経験の差がどんどん開き、ひいては実力差が事実として出てきます。こうして女性よりも同僚男性のほうが先に管理職として昇進していく一因になるわけです。

意外と強い女性管理職のバイアス

アンコンシャス・バイアスは、男性の管理職だけでなく、女性管理職にもあります。実はIATのデータで見ると、男性のジェンダーバイアスよりも、女性のジェンダーバイアスのほうがやや強いことがわかっています。

実際、弊社が提供する研修でお話を伺うと、女性管理職は女性部下に仕事を振るのを遠慮するなど、過度な配慮をしがちな一方で、独身男性に対してはもっと頑張れるはずだと考えて、大きな負担をかけてしまったりしていることがあります。

また、実際にIATを受けた女性管理職からは、「自分のバイアスが強くてビックリした」、「『女性らしく』あらねばと自分で女性らしいリーダーを演出していたことに気づいた」といった声を直接聞きました。