毎日の「繰り返し」を効率化するには

人生における「繰り返し処理」とはいったい何か。月次のもの、週次のもの、日次のものがあるが、まずは日次を分解してみよう。

小野和俊『その仕事、全部やめてみよう――1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」』(ダイヤモンド社)
小野和俊『その仕事、全部やめてみよう――1%の本質をつかむ「シンプルな考え方」』(ダイヤモンド社)

例えば電車やバスで会社に通勤している人であれば、往路と復路とで1日2回の繰り返し処理がある。食事だって1日に3回ある。休憩をとることやトイレに立ち上がることも繰り返し処理だ。

さらに、より高頻度のものとして、日本語の漢字変換がある。取引先や同僚の名前ですぐに変換できないものがあると厄介だ。毎回別の単語を入れ、一部分を消してまた別の単語を入れて……などの作業を毎回やるのは非効率極まりない。いますぐ、その人の名前を辞書登録したほうがいい。

「いつもお世話になっております」「お疲れさまです」「以上、よろしくお願いいたします」といった定型文も短い言葉で変換できるように辞書登録しておこう。作業の手間を大幅に削減できる。

パソコンのスペックがあまりよくなく、待ち時間が頻繁に発生してはいないだろうか。「待ち時間×待った回数分」で考えれば、かなりのロスだ。すぐにパソコンを新調しよう。マウスやキーボードのコードが絡まってそれをしょっちゅう直しているなら、ワイヤレスマウスやワイヤレスキーボードの導入を検討しよう。

毎日の通勤時間が片道1時間かかるなら、その時間を「自分が興味を持っていること」の勉強に充てよう。月に20日出勤するとすれば、年間480時間になる。それだけの時間があれば、その人なりのユニークな知識が身につくはずだ。

マイナス効果に要注意!

繰り返し回数が多ければ多いほど、かけ算の効果がある。裏返して言うと、繰り返し回数の多い処理が少し遅くなるだけで、かけ算分のマイナス効果があるのだ。

転職したとき、PC環境やメーラー・スケジュールソフトが変わって、「生産性が落ちた」と感じたことはないだろうか。セキュリティーが強すぎて、何かするたびに8桁以上のパスワードを毎回入力しなければならず、効率が悪い。そんな話もよく聞く。

IT部門にこの不便さを訴え、「そんなに困りますか?」とキョトンとされたら、彼らは「繰り返しの力」を認識していないことになる。Slackのようなコミュニケーションツールの使い勝手が重要なのは、「繰り返し」の回数が極端に多いからだ。

攻略すべきは「繰り返し処理」である。

効率化も、非効率化も、「繰り返し処理」の扱い方で決まるのだ。