年末のイタリア旅行中に年内の仕事を終わらせました
年末年始に家族3人で長期のイタリア旅行を計画していた藤田和代さんには、いくつかの壁があった。
「ハイシーズンなので年末に近くなるほど航空券が高額になります。出発の日を早めないと予算的に辛いけれど、多忙な時期に有給休暇をとると仕事が滞る。少しでもイタリアに長く滞在でき、交通費を抑え、仕事に支障が出ないようにする方法はないかと考えたところ、ワーケーションが最適だと思いました」
19年12月25日にパソコン持参で出国し、会社が営業中の26、27日に滞在先のアパートで仕事。「時差に慣れない子どもにたたき起こされて、朝5時から仕事しました」と笑いながら振り返る。コアタイムなしのフレックス制なので、仕事は1日4時間と決めて集中。年内にやるべき仕事をこなすことができ、さっぱりした気分で旅行を満喫できたという。
「年末の慌ただしい時期にイタリアに2週間も行けるなんて、数年前までは考えられませんでした。ワーケーションは画期的な制度です!」
自然豊かな地方に中期滞在。暮らしながら、仲間と働く
四国の小さな町で効率よく仕事に集中
野村総合研究所では2017年より、働き方改革の可能性を探ることを目的にし、仕事を主体とした「仕事型ワーケーション」を導入した。
自然豊かな徳島県三好市に中期滞在しながら平日は通常業務、週末は休暇をとる、愛称“キャンプ”を実践している。その仕組みと特徴を社内でワーケーションを推進しているデータセンターサービス本部・担当部長の福元修さんが説明してくれた。
「実施回数は年に3回。毎回、1カ月程度の期間を設け、1~2週間単位で参加希望者を募ります。いつもとは違う交流がはかれるよう、異なる部署のメンバーでグループを構成し、数人単位で実施します」
サテライトオフィスとして利用しているのは、地域交流センター内のレンタルオフィス。古民家をリノベーションした趣がある建物だ。現地で使用するモニターやプロジェクターなどの大型機器は、事前に会社から宅配便で送っておく。「ネット環境は快適なので、都心とまったく変わらない状態で作業できる」という。
宿泊は地域交流センターに併設された移住を検討している人向けの住宅や、近場のビジネスホテルを利用。
「通勤時間はたったの数分なので参加者に好評です。静かな環境で効率よく集中できますから生産性の向上にもつながります」
メンバー同士で余暇を楽しむ時間、地域の人々と交流する時間も多い。
「仕事と休暇を両立できるすばらしいキャンプを多くの人に体験してもらいたい。これまで、データセンターサービス本部を中心にシステムエンジニア80人が参加してきましたが、今後は全社員を対象に、裾野を広げていきたいと考えています」