P&Gの場合
バイアスに焦点を当てた“MARC”を導入
自社の社員向け研修を他社に無償提供するほど、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みでは一歩も二歩も先をいくP&G。「個人の多様性を認め受け入れるためには、アンコンシャス・バイアス(以下、バイアス)の知識が必要不可欠」と人事担当の松野美緒さんが語るように、数多くの研修にバイアスの講義が含まれる。
なかでも、4年前に日本に導入された“MARC(マーク=Men Advocating Real Change)”は、特に男女という属性に焦点を当てた、アメリカで開発された1泊2日、計12時間のトレーニング。組織における男女間にどのようなバイアスが存在し、行動や考え方にどう影響するか、トレーニングでは疑似的に体験することで理解を深め、その経験について対話しながら学んでいく。
男性が女性のバイアスに気づく大きなきっかけに
2019年の8月に参加した田中康之さんは、「そもそも自分は会社の中では多数派であり、他人からのバイアスを感じる経験は少なかった」という。しかし1年半前にリーダーとなり、チームの中に年上の部下や育休明けの女性など、さまざまな立場の人を抱えることで、MARCを受ける必要性を感じたという。