一網打尽にされた“コト消費”

今まで経験してきたリーマンショックや東日本大震災の巣ごもり消費は、この3つの足かせのうち、「景気低迷」と「会社にキャッシュがない」の2つの影響しか受けなかった。この2つの足かせならば、お客様との接触機会を増やして商品の価値を理解してもらい、強引に財布の紐をこじあけることができた。事実、新型コロナウイルスの感染が広がる前、景気が低迷している中で売上を伸ばしてきたのは、お客様との接点を増やした“コト消費”という売り方だった。体験と空間を付加価値としてお客様に理解してもらい、ファン客を作って販売したコト消費は、日本の消費のけん引役として注目を集めていた。

しかし、今回の巣ごもり消費には、お客様と「会ってはいけない」という厳しい条件がつきまとう。コミュニケーションというお金のかからない武器が使えないことは、中小企業にとって致命的といえる。

今回の巣ごもり消費ではお客様と「会う」「話す」という強い武器が喪失し、接近戦ができなくなってしまった。今までお客様に体験でモノを売ってきたコト消費の売り方を一網打尽にされたことが、消費低迷に拍車をかけてしまったといえる。

3つの足かせを逆説で考えると打開策が見えてくる

絶望的ともいえる状況だが、先述した3つの足かせを真逆に考えると、新たな販促手法が浮かび上がってくる。

1.「3密」の感染予防による集客減
→「3密」をクリアした売り方を実践する
2.景気の低迷による消費意欲の減退
→低価格の商品を売る、もしくは高いお金を払ってでも悩みごとを解決する商品を売る
3.会社に投資するお金がない
→お金をかけない販促を仕掛ける

現在の厳しい巣ごもり消費の中で売れているものは、じつは、この3つの条件をクリアしたものばかりである。