コロナ禍の巣ごもり消費 最大の難問は
これに加えて、「お金がない」「無駄遣いしたくない」というネガティブな消費マインドが、問題を深刻化させている。日本経済の先行きがわからなくなると、当然、消費者は無駄なお金を使わなくなる。給料が減額されたり、職を失ったりする人が増えれば、さらに消費は冷え込み、モノやサービスは売れなくなってしまう。
そして、ダメ押しとなるのが、企業や店舗に「お金がない」という問題である。売上を伸ばしたいが、営業時間の短縮や顧客離れで、投資するお金が手元にない。家賃や従業員の給料を支払うのがやっとで、売上を拡大していくための販促費がないのだ。非対面の接客を強化するためにネットビジネスを立ち上げたくても、ホームページをリニューアルする費用を捻出できないし、広告費を新たに投資するお金もない。投資金額ゼロで、この史上最大の経済危機を乗り越えなくてはいけないというのが、新型コロナウイルスの巣ごもり消費の最も大きな難問なのである。
消費を急速に冷え込ませた3つの“足かせ”
新型コロナウイルスの巣ごもり消費は、3つの問題を抱えている。
2.景気の低迷による消費意欲の減退
3.売り手側に投資するお金がない
この3つの“足かせ”を理解しなければ、まちがった戦略に舵を切ってしまう。
たとえば、「3密」を回避するために非対面のネット通販を強化しても、贅沢品や高級品は消費マインドが低下しているため、やはり売りづらい。また、価格が比較されやすい型番商品などは、ネット通販を立ち上げても、すぐに価格競争に巻き込まれてしまい、実店舗で商売をすること以上に厳しい状況に追い込まれてしまう。
飲食店のテイクアウトでも同じことがいえる。ランチの時間帯にお客様が来なくなったからといって、店頭で1000円の弁当を販売しても、今の消費者心理を考えれば、容易に売れないことは明らかである。コンビニの300円の弁当よりも付加価値のあるものを提供しなくてはいけないし、SNSやブログなどを通じて1000円の弁当のよさが伝わる情報発信をしていかなければ、お客様に高いお金を払って買ってもらうことはできない。
この3つの足かせは、消費行動において致命的な問題といえる。お客様は店に来ないし、行ってはいけない。商品を売っても買ってくれないし、買ってもらうための投資もできない。打つ手がないも同然。武器を取り上げられて、丸裸で戦場に放り出されてしまったような状況である。