“リモートスキル”はウリになる

そして、これから実際に副業を始めるときに、カギになるのが“リモート”です。

たとえば、コロナウイルス問題前は、筋トレをお手伝いするパーソナルトレーナーという副業は、すごく人気でした。筋トレは一人だとなかなか続かないし、我流でやるとケガをしてしまう恐れもある。

そこでマンツーマンで正しいやり方を教えるというのがはやっていましたが、コロナウイルス問題でジムが閉鎖してしまい、仕事がやりづらくなってしまいました。でもその経験を活かして、オンラインで指導する人が増えてきたのです。そうなると在宅でもできますから、むしろやりやすくなっていると言えるのかもしれません。

また、リモートワークも増えましたので、リモートのプレゼンスキルを教える講師やリモートセミナーのコンサルタントといったニーズも増えています。企業の中には、YouTubeなどの動画を活用して宣伝につなげたいというところも多いので、そういう企業に対して、動画作成のノウハウを提供できると大きい強みになるでしょう。

私がコンサルをした方の中に、口下手な営業マンの方がいました。彼が考えた肩書は「訪問しない営業の専門家」というもの。これからの時代、さらにニーズがあがりそうです。

リモートなら北海道と沖縄など、場所が離れていても、同じ趣味のコミュニティをつくることができます。いまや世界中でつながっていますので、そういったコミュニティを対象にビジネスを考えていくことも可能です。

副業はトライアル&エラーが訓練になる

大切なのは、とにかくやってみること。副業は本業のように失敗したら評価が下がるとか、うまくいかなくて誰かに怒られるということはありません。どんどんやってみて、失敗したら次から気をつける。トライアル&エラーの姿勢が大事です。

たとえばライティングの仕事も「自分に書けるだろうか」と躊躇ちゅうちょしても、とにかくダメ元で書いてみる。私も最初は、編集者の方に怒られながら、「仕事は断らない」をモットーにやってみました。それが結果的に訓練になりましたね。

「自分には荷が重いです」「まだその域に達していません」と言って、引き受けるのをためらう方はすごく多い。でもそんなことをしていると、いつまでも上達しません。仕事は断らず、どんどん受けて、受けた仕事は全力でやる。

それがアフターコロナの副業の心得と言っても過言ではありません。

構成=池田純子 写真=iStock.com

藤井 孝一(ふじい・こういち)
アンテレクト代表

中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。