iDeCoは減額も休止も可能。引き落とし口座に注意

会社員でもiDeCo(個人型確定拠出年金)で年金づくりをしている人もいる。休業で収入が減ると積み立てるのが負担になる可能性もあるが、どうすればいいだろうか。

iDeCoは一時的に積み立て(資金の拠出)をストップすることもできる。収入が回復したら積み立てを再開する、という手もあるが、できれば、止めることなく、積み立てを続けることを考えたい。iDeCoには、掛金が所得から控除されて所得税と住民税が軽減されるというメリットがあるが、育児休業給付金は非課税なので、そのメリットは享受できない。しかし、積み立てを続ければ、その分、将来受け取る年金の原資は多くなる。

またiDeCoでは積み立てを停止している間も運用期間中にかかる費用(金額は取扱金融機関によって異なる)があるため、積み立てを休んで元本を増やさないと、手数料損ということになりかねない。

さらにコロナ禍でマーケットが不安定な時期は、株式に投資する投資信託などを安値で買える可能性があるなど、積み立てでお金を増やす好機とも考えられる。そうした時期にはとくに、積み立てを休むのはもったいないとも言えるのだ。

なお、iDeCoの掛金について、給与からの天引きとしている人は、自身の預金口座からの引き落としに変更する必要がある。休業中、給与が支払われなければ、掛金の引き落としができないので注意してほしい。

教育費が気になってもiDeCoは継続がオススメ

職場復帰して収入が回復したあとも、「教育費の準備も必要だからiDeCoは難しい」と考える人がいるが、これも賛成しかねる。教育費の準備が大切なのは確かだが、老後資金の準備も同様に重要であり、所得控除というメリットを最大限に生かしながらiDeCoを続けていくことを考えたい。

掛金の金額は年に1度まで、減額の場合、5000円を下限に変更できる。金額が少なくても確実に老後資金のベースになるし、「年金づくりをしている」という意識を持てる、精神的な効果も大きい。子どもも大事だけれど、豊かな老後をめざして、自身の将来への仕送りも続ける、ということを大事に考えたい。

写真=iStock.com

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。