夏休みを学習期間に充てる人も多い

時間のある夏に勉強をするという人もいる。大学や高校などでは公開講座も多く開催されているし、語学に興味のある人は海外の語学講座に行くこともある。さらに、仕事をしながらでも大学や仕事に関係のある補習講座に通う人が多いフィンランドでは、この時期にまとめて論文を書いたり、座学に通ったりする人もする。

夏休みに何をするかはそれぞれ自由だ。何もしない時間をのんびりと過ごす人もいれば、予定をつめこんで慌ただしく過ごす人もいる。それでも、4週間、6週間の休みが「長すぎた」「暇すぎた」と言っている人に会ったことがない。子どもの時には2カ月半の夏休みを過ごしているので、ある意味夏休みは長くて当然。慣れているところもある。終わってみればあっという間、もっと休みがあればいいのに、という声も聞こえてくる。

休み明けにバリバリ働くフィンランド人

そんなに休んでしまったら、仕事に戻れなくなるのでは? と思う人もいるかもしれないが、たいてい1~2日で元に戻れる。そして心身共にリフレッシュしたフィンランド人は、驚くほどの集中力でバリバリ仕事をこなしていくのだ。そういった姿を見ていると、やはり長期休みは必要なのだと感じさせられる。

堀内都喜子『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ新書)

ただ、フィンランド人の中にも、「夏休みに何かをしなければならない」とか、家族や親せきと過ごす時間が増えることに起因するストレスを感じる人もいるようで、夏休み前になると雑誌などでよく「こうすれば楽しい休みが過ごせる」といった特集が組まれる。

では、効果的な休みのとり方とは、どういったことか。フィンランドの労働衛生研究所の研究者は、まず日常生活で疲れた体と心の回復をすることが大切だという。そのために効果的なのは休暇中にいつもとは違ったことをすることであると語る。

つまり仕事から頭を切り替えることが大事だ。例えば、休暇のはじめに旅行をすると、うまく切り替えられる。それがうまくいかない場合は、ほかの形で日常のルーティーンを変えることも大切だそうだ。

そういう意味で、フィンランド人が旅行に行ったり、コテージでのんびり過ごすのは、ベストな過ごし方と言える。