夏休みにはコテージでデジタルデトックス
だが、長期の休みに慣れていない日本人からしたら、そんなにも長い休みに何をするのだろうと不思議に思うかもしれない。
やはり時間がたっぷりあるので、国内外にゆっくり旅行に行く人は多い。だが、それ以上にフィンランドらしい夏休みは、コテージに行くことだ。550万人の人口のフィンランドには50万軒のコテージがあると言われている。親せきから譲り受けたものや、自分で建てたものなどいろいろだが、きょうだいや親せきと共有して使っていることが多い。
コテージでサウナに入り、自然や静かな時を楽しむ。コテージの中には、電気や水の通った普通の家のように豪華なところもあるが、そういったものが一切ないところも少なくない。
私のある友人は、「いろいろ便利なものが揃っているコテージは、コテージじゃない。やっぱり、明かりは白夜の自然な光のみ、水は近所から汲んできて、昔ながらの薪や炭を使って簡単な料理をするのがいいのよね」とよく言っている。そういったコテージは、もちろんテレビもなく、まさにデジタルデトックスだ。
しかもトイレは昔ながらの屋外の汲み取り式だ。シャワーもなく、サウナを温めて、湖で汲んだ水を薪のサウナストーブの横のタンクに入れてお湯を作り、湖の水と混ぜて行水のようにして体を洗う。
何でもある生活やデジタルな生活に慣れてしまっていると不便に感じるコテージライフだが、日々の忙しさや喧騒から離れてこういったところで1~2週間過ごすと、身も心もリセットされる。読書を楽しんだり、魚釣りをしたり、近くを散策したり、予定や時間に追われない、何もしない時間を楽しむのだ。
DIYや勉強、家族の行事を楽しむ人も
湖や海が身近なフィンランドでは、ボートやヨットを持っている人も多い。友人のご両親は夏休みのうち10日間ほどを毎年ヨットで過ごす。大小様々な島を巡り、ヨットの中で眠る。さらに、仲間とキャンプに行ったり、フィンランド中で開催される音楽やアートのフェスティバルに出かける人も多い。
また、夏は結婚式や、堅信礼(15歳になってあらためて洗礼をうける。フィンランドでは成人式のような意味合いが強い)など、家族・親せきがらみの行事も数多くある。そういった行事に参加するため、フィンランド中を移動する。
さらにはDIYが盛んなフィンランドでは、日が長く、まとまった時間のある夏休みにリノベーションをする人が多い。トイレや浴室、壁のペンキ塗りなど、普段できないことをこの時に家族総出で行うのだ。もちろん庭仕事や畑仕事など、雪がなく暖かいこの時期にしかできないこともたくさんある。