幸福度世界1位の国フィンランドでは、身体的、精神的、社会的に良好な状態であることを指す“ウェルビーイング”という言葉をとても重視しているそうです。夏休みは1カ月、午後4時に仕事は終える……など、働き方も休み方も日本とは大きく異なります。フィンランド大使館で広報として活躍する堀内都喜子さんが教えるフィンランド人の上手な休み方とは――。

※本稿は、堀内都喜子『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

フィンランドの旗を振る
※写真はイメージです(写真=iStock.com/naumoid)

フィンランド人が4週間の休みをとる理由

かつて、フィンランド人の同僚が4週間の休みをとる理由をこう語っていた。1週目はなかなか仕事から完全に離れられず、頭の中で考えてしまう。2~3週目になると休みを楽しむことができ、4週目になるとそろそろ仕事に戻りたくなる。だから今後の仕事のモチベーションや、心身の健康、ウェルビーイングの観点からも長期の休みが必要なのだ、と。

そして長期休みに同僚が入る時、周りは「仕事もパスワードも忘れて、携帯もメールも見ちゃだめだよ」と声をかけることが多い。誰か一人が長く休みをとるのであれば、周りの人が不満に思ったり、休むほうも心苦しく感じるかもしれないが、みんなが同じぐらい休みをとるので、素直に「行ってらっしゃい」という気持ちになる。

取引先が多少不便を感じたとしても、夏休みの季節だし、自分も休むのだからと、寛容になれる。だが、インターネットや携帯がこれだけ普及している時代に、果たして本当に休み中は仕事から離れられるものだろうか。