同じ50代でも新たな動きに対応できる上司は何が違うか

昭和の時代に入社した50~60代でも、テレワークの流れに逆らわずに対応して現場をうまく回している人たちもいます。彼らに共通しているのは、コロナ以前から部下たちにエンパワーメントしていたという点です。もともと権限委譲をしていたので、パワーマネンジメントに頼る必要がなく、オンライン会議になっても同じマネジメント手法で対応しています。

このように、一部の昭和上司がフル出社にこだわるのは、マネジメント手法の問題が大きい。そういう意味では、20~30代の若い上司やITスキルがある上司だからといって、社畜ウイルスにかかっていないとは言い切れません。体感マネジメントやパワーマネジメントしかできなければ、どんな人でも同じように昭和上司化するおそれがあります。

出社しても会議はオンラインで参加せよ

昭和上司が幅を利かせている会社で、出社とテレワークのハイブリッド型にスムーズにシフトするにはどうすればいいのでしょうか。本来はトップが覚悟を持って従来のマネジメント手法の刷新を図るべきです。たとえばエンパワーメントを仕組み化したり、主観が入る余地のある曖昧な評価制度を改めるといった取り組みが考えられます。

私がおすすめするのは、出社解禁後も会議をすべてオンラインにすることです。対面の会議になると、昭和上司はどうしても体感マネジメント、パワーマネジメントに頼ってしまう。それができない環境を強制的に作って、ファシリテーションのスキルを磨いていてもらうのです。

本当は昭和上司にテレワークを続けてもらうのが手っ取り早いと思います。ただ、社畜ウイルスにかかっている人に「出社を我慢しろ」というのは酷です。ですから、出社しても会議室に行って対面で話すのではなく、自席や応接室からオンラインで参加をしてもらいます。

他の参加者はオフラインでも構いません。コロナ前からオフラインとオンラインのハイブリッド会議をやっている会社は珍しくありませんでした。たとえば本社で幹部が集まり、オンラインで支店長が参加するといったケースです。ただ、ハイブリッド会議は、オフラインで雑談も含めて多くの情報が交換されるのに対して、オンラインはただつながっているだけのことが多く、情報格差が生じがちでした。一番偉い人がオンラインでファシリテートすれば、従来見られた情報格差も縮小するでしょう。

また、上司に報告するためだけに印刷されるペーパーもなくなるはずです。昭和上司のオンライン参加は、脱“体感マネジメント”のトレーニングになること以外にもメリットが多い。コロナ収束後も、ぜひ継続させたいところです。