「コロナ後は能力のない人は淘汰される」という危機感

【原田】今の若者は会社への帰属意識が薄いと言われているけど、コロナの影響で、Aさんのように意識が変わる人も増えているのかもしれないね。皆は今後のキャリアについてどう思っているのかな?

【Cくん】僕は就活の時から転職ありきで考えていたので、今も帰属意識はまったくないです。これはキャリアのワンステップで、結婚もしたいから最終的にはやっぱり安定した大企業に行きたい。一方で20代は挑戦する時期だと思っているので、今のうちに海外も含めていろいろな仕事に挑戦したいです。

【Dくん】僕も帰属意識はありません。今の会社は早くからチームリーダーを任せてくれるので、次でマネジャー職につけるように自分の市場価値を上げていきたいですね。ただ今回のコロナで、今後は能力のない人は淘汰されるだろうと強く思うようになりました。今がんばってスキルを上げておかないと、と思っています。

【Bさん】私も20代のうちに事業開発から運営までの一連の流れを経験しておきたいです。私はオンラインで就活生の相談を受けているんですが、来年は新卒も本当に厳しい状況です。2021年卒は去年だったらまだ採用期間なのに、今年はもう締め切っている会社も多いんですよ。22年卒では、6月からのサマーインターンが実施されるのかどうか不安がっている子が多いです。

意識を変えないといけない局面に

【Aさん】私は、コロナの影響でこれまで常に持っていた転職カードを切るのが難しくなって、次のキャリアが見えなくなりました。今の会社で何十年も働こうと思っていなかったので、何とか気持ちを切り替えなきゃ。自分の意識を変えなきゃいけない、そんな局面に立たされた気がしています。

【原田】データによれば、去年は文系女子の6割が第2志望までの会社に合格しているそうなんだ。でも、今の就活生はコロナの影響でかなり厳しい状況にある。それは転職も同じで、今後しばらくはハードルが高い状態が続くだろう。仕事や会社の風土が合わないと思ったら、もちろん辞めるという選択肢もあるけど、転職には今までより慎重になる必要があると思うよ。

コロナの影響で、仕事に対する若者たちの意識にも変化が起こりつつあるようです。内定取り消しなどが起こる一方、余裕のある企業ではオンライン研修や在宅勤務が行われ、ここに来て企業の体力の差を実感している若者も少なくありません。また、業績は好調なものの、この状況下で通勤も出社も通常通りという方針に不信感を抱いている若者もいます。今後、若者に選ばれる企業であるためには、コロナにどう対応したか、新入社員の不安やつらさにどう寄り添えるかといった点も重要になってくるのではないかと思います。

構成=辻村洋子 写真=iStock.com

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。