自分の努力を正しく評価できるかという「メタ認知」が肝
やり抜くためのモチベーションになるのは、目標に対して、自分の努力の結果が見えてくることです。ダイエットなどで考えるととてもわかりやすいです。空腹を我慢して3日過ごしたとしましょう。この時、やり抜く力がそがれてしまうタイプの人が陥りがちなのは、「こんなに我慢したのに、これしか体重が減ってないなんて! もう無理!」という思考です。
この思考の原因は、自分の行動と結果を正しく予想するための「メタ認知」という能力が足りていないことだと考えられます。3日食べなくてすぐに体重計に反映される数字は、だいたいこのくらいだろう(たかが知れているし、場合によってはまだ全然数字には反映されない)、という予測がある程度できていれば、無駄にがっかりすることはありません。つまり、正しく予測ができずに、自分の努力の過大評価+大きな期待を持って、現実を見たときに、大きなショックを受けてしまうのです。これがまさにやり抜けなくなる第一歩になります。
努力を続ける時には、過大評価をせず客観的により正しく自分をみつめることが最も重要なことの一つだと言えます。そういった意味では、自粛の努力量と効果が目に見えてくる報道などがされることが、私たちの自粛生活を継続するキーになってくるのかもしれません。
オンライン講義をやり抜ける人は登録者の10%以下
自粛生活に伴い、テレワークやオンライン講義が普及していますが、従来あるオンライン教育では、通常の対面型の教育に比べて、学習に対するモチベーションの維持が難しく、履修修了者が大幅に減ってしまうことがわかっています。スタンフォードなど世界の名門大学や日本からも東大等が参画している大規模公開オンライン講座では、登録が簡単にできるため、という背景もありますが、講義シリーズを最後までやり抜ける人は10%以下しかいない、という研究報告もあるほどです。事実、オンライン環境では、集中力や作業量が減る人がいることも示されています。
実際、私たちの研究チームが行った研究でも、オンライン講義(一方的な講義内容の配信で、現在のコロナ対策下で多く行われているようなリアルタイムのオンライン講義とは異なるもの)では、
・講義内容(外国語学習)に対するモチベーションの高い人を集め、
・何をどのくらい学習するか配信する講義をもとに詳細に理解してもらっていた上に、
・実験という環境上、講義を受けることでお金をもらえたにもかかわらず、
約半数の人が、第4回までの講義を受けることなくやめてしまいました。