白アスパラが棚から消えた!

多くの感染者を出したイタリアと国境を接するオーストリアで、最初のコロナ患者が出たのは2月25日でした。3月16日には感染者が1000人を超え、休校、休業、外出制限が課され、8つの国境は次々と封鎖されます。

これに伴い、アスパラ収穫のための東欧からの季節労働者が入国できなくなりました。熟練収穫労働者がやってくるのは、国境を接するチェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランドだけでなく、さらに東のルーマニアやウクライナまで含まれます。最も人手が必要な時期に、オーストリアの農家は、予期せぬ大規模な作業員不足に悩まされました。

この時期の農作業は、アスパラ収穫だけではありません。イチゴの収穫やブドウ畑の整備のほか、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎなどを植えなければ、秋には食糧難に陥ってしまいます。また、家畜の飼育や精肉の分野でも人手不足となり、スーパーでは野菜や精肉の棚が一時的に空になる様子が見られました。

筆者の利用するウィーンのスーパーでは、3月中はスペイン産の白と緑のアスパラが入荷していましたが、4月に入って白アスパラの棚は空になりました。4月中旬を過ぎて、少しずつ国産のアスパラが入荷していますが、例年よりは少なく、割高になるとみられています。

また、毎年私が利用している白アスパラ名産地の農家直売所のウェブサイトには、「今年の販売は緑アスパラのみ」とあり、収穫に人手のかかる白アスパラの収穫が滞っていることを実感させます。

昨年のアスパラ名産地の直売所
昨年のアスパラ名産地の直売所