【leverage point】シンプルな間取りで、将来の変化へも対応

和風モダンの洗練されたH邸はバリアフリーへの配慮も充分備えながら、住まいとしてのグレード感も高めることにも成功しています。リフォームの予算を立てるうえで重要なのは、住まいの将来像と全体像をしっかりイメージしておくことだと西田さんは指摘します。

「まずはわが家の診断です。現在どれくらい価値があるのか、今後何年住み続けるのか、そのためにどう付加価値をつけるのか、整理することで予算が見えてきます。50代は人生の後半戦をどう生きるかを考える時期。子供たちが独立した後、夫婦2人の豊かなシンプルライフのために、住まいの面積を減らす減築という考え方もあります。ペットと暮らす夢を叶えることもあるでしょう。自分らしく暮らすための家づくりとしてリフォームはあるのだと思います」

現在の住まいが終の棲家になるとは限らないと思えば、将来の売却を視野に入れることも必要です。古くなった設備や機器を取り替えるという発想ではなく、資産価値を高める投資という発想へ。これからの時代、リフォームにも戦略性が求められています。

1/リビングと和室は斜めに仕切られた引き戸を開放すれば、南向きの光と風を楽しむ広々としたワンルームに。明るいベージュ色の壁に、モダンなパーティションがアクセントを添え、モノトーンや濃い茶系の家具としっくり馴染んでいる。

2/べんがら色の和紙をランダムに張った壁は、ゆるやかなアール(曲面)で玄関からの視界をそらし、奥行きも感じさせる。インテリアにリズムとアクセントが生まれる工夫。

3・4/カウンターで仕切られた対面キッチンは動線を考慮し、リビングに向かって斜めに配置。鮮やかな壁面に合わせて赤を効かせたシステムキッチンが洒落ている。サイズに合わせてすっきり収めた水屋だんすの両脇には、冷蔵庫や家電などを収納。引き戸が効果的な目隠しになっている。

5/壁面に収納スペースを設け、家具をできるだけ置かず、シンプルなインテリアにした寝室。昼間は奥様のプライベートルームとして活用している。

(間取り図作成=長岡伸行)