バーチャルお茶会や1on1が大事
加えて、自宅で1人で作業をしているとつい根を詰めてしまいがち。そこで皆に休憩を促すために、「お茶会」と称した他愛のない雑談をしている会社もあります。1対1の雑談タイムをとることも多いですね。
この「雑談」は、リモートワークにおけるマネジメントではとても重要なキーワード。在宅勤務は移動がないため時間効率が高く、以前は1日に1本しか入れられなかったアポイントを3〜4本入れることも可能になります。これだけ働けば当然疲れるわけで、本人も気づかないうちに心身にダメージが出てくることもあります。
リモートワークでは、真面目で優秀な人ほど“働くマシン”になりがちです。管理職の人は、その点を注意深く見るためにも、また休憩を促すためにも「雑談」を積極的に取り入れてほしいと思います。こうして上司から積極的に声かけをしていけば、リモートワークになったからといってコミュニケーションの質や生産性が落ちるなどということは起こらないでしょう。管理職の仕事は、部下がさぼっていないかどうか監視することではなく、こうしたメンタルケアこそ重要な仕事の1つなのです。
飲みニケーションに頼らない真のマネジメント力が試される
今後、「部下は目の前にいるべき」というマネジメントスタイルは変わっていかざるを得ないと思います。新型コロナの感染拡大で、これまでのように全員出社が前提の働き方はできなくなりつつあります。コミュニケーションも、物理的に対面しての雑談や飲みニケーションに頼るわけにはいきません。
そうすると、管理職が「監視」ではない本来のマネジメントをするようになるはずで、ここに大きなメリットが生まれます。真のマネジメント力を持つ人しか評価されなくなるため、これからは優秀な管理職がどんどん育っていくのではないでしょうか。
長年、日本の働き方は生産性が低いと言われ続けてきました。この機会に旧来の無駄な習慣が一掃され、日本全体の生産性が向上していくことを期待しています。
構成=辻村 洋子 写真=iStock.com
1974年京都生まれ。1999年立命館大学大学院を卒業し、TIS(旧 東洋情報システム)に入社。2005年に社内SNS「SKIP」の開発と社内展開、その後オープンソース化を行う。09年、SKIP事業を専門で行う社内ベンチャー「SonicGarden」を立ち上げる。11年、TISからのMBOを行いソニックガーデンを創業。著書に『リモートチームでうまくいく』等。