残念なマネジメントの代表格は「部下の監視」
「Remotty」は、オフィスに出社するのと同じように仮想空間に出社する仕組みになっていて、Webカメラやチャットを通して、気軽にあいさつや雑談ができます。出社したメンバー全員が一つの画面を共有しており、そこに映る画像は2分おきに更新されるため、今誰がPCの前にいるのかが一目瞭然。
「おはよう」「今ちょっといいですか」など気軽に声を掛け合うことができ、込み入った話になってくればそのままTV会議に移動することもよくあります。
当社の社員は18都道府県にまたがっており、全員がリモートワークですが、こうした工夫もあってチームの一体感や生産性を保つことができています。マネジメントについても、私自身は特に不便を感じてはいません。
ただ、管理職の人の中には「部下が目の前にいないとマネジメントできない」という考え方の人もいると聞きます。管理職の仕事は、部下が全員オフィスにいるかどうか、サボっていないかどうかを監視することだと思っているのかもしれません。
私は、管理職の仕事は部下に成果を上げさせることであって、監視ではないと考えています。「部下は上司が見ていないと働かないもの」「リモートワークにしたらゲームやSNSばかりするだろう」と思っているとしたら、その時点ですでにマネジメントに失敗しているのではないでしょうか。
そもそも、サボりたくなるような仕事を与えていること自体が間違いなのです。今やっている仕事の意義をきちんと伝えてもらえない、裁量権が与えられずダメ出しばかりされる──。もし自分が部下で、こうしたマネジメントをされていたら、仕事が面白くなくなるのは当然でしょう。
朝イチの5分ミーティングがおすすめ
管理職の本来の職務「メンバーに成果を上げてもらう」を果たすには、やはり丁寧なコミュニケーションが欠かせないと思います。ただ、リモートワークの場合、前述の仮想オフィスツールを使うなど、リアルのオフィスにいるのとは違った工夫が必要になってきます。
私のおすすめは、まず朝イチにミーティングを入れること。チーム全員で仮想オフィスに出社し、仕事を始める前に5〜10分程度雑談をするのです。朝に顔を合わせておくと、今日は誰が仕事をしていて誰が休みなのかわかるので、その日1日お互いに話しかけやすくなります。うちのメンバーを見ていると、声をかけ合うと距離的には離れていても“一緒に働いている感”が高まるようです。
朝の定期ミーティングは、上司にとっては「ちょっと元気がないな」などと部下の異変に気づく機会になりますし、部下にとっては身だしなみを整えて仕事モードに入るきっかけになります。リモートワークには孤独感を覚える人もいるので、こうした“軽い顔合わせ”はそれを防ぐ上でも効果があると思います。