みじめな食べ物からカッコいい食べ物へ

この“KEEP THINKING”のシリーズでは、引き続き受験生を応援するもの、ポーランド出身の女流棋士カロリーナさんを応援するものなどもつくられています。どちらも共通点は頭を使うこと。これでドタバタのイメージが強かった印象が一転。スマートなイメージになったのです。

いままでは、仕事をしながらカロリーメイトを食べるのは“惨めなこと”でした。

「あー、○○ちゃんカロリーメイト食べてる。忙しいんだ、かわいそー。ごめーん、悪いけど私たちランチに行ってくるね」みたいな感じだった。

ところが「集中を切らさないために、あえて満腹にならないカロリーメイトを選ぶ」となると、「仕事に集中している自分がカッコいい」「逆にみんなでゾロゾロ連れ立って昼飯を食いにいくやつに、仕事ができるやつなんかいないよ」という気分になるから不思議です。

“反対に”考えると新しい市場が見える

このように、見方を変えれば短所は容易に長所となりえます。ですから、まずはいったん反対にして考えてみるというのも手です。消費者がカロリーメイトを急いで食べているのなら、「少しでもゆっくり食べるときって、どういうときなんだろう?」と考えてみる。

前回取り上げたハーゲンダッツも、まさにそれまでのアイスクリームの常識を裏返しにしています。それまでアイスクリームといえば、子どもがおやつにパクパク食べるものだった。それを「子供」ではなく「大人」が、「3時のおやつ」ではなく、「1日の終わり」に、自分へのご褒美としてゆっくり味わって食べるものへと反転させたのですから。

このように人々の行動が変わると、新しいマーケットが生まれます。私たちは会社の上層部から売り上げ目標を言われると、「どうやって売るか」と、モノを売ることばかり考えてしまいます。しかしいままでと同じ利用のされ方では、マーケットは伸びません。それを変えるには何らかの人々の行動の変化があるはずです。それをつかまえることを意識してみてください。

構成=長山清子 写真=iStock.com

桶谷 功(おけたに・いさお)
株式会社インサイト 代表取締役

大日本印刷、外資系広告会社J.ウォルター・トンプソン・ジャパン戦略プランニング局 執行役員を経て、2010年にインサイト社設立。初著『インサイト』(ダイヤモンド社)で、日本に初めてインサイトを体系的に紹介。商品開発・ブランド育成などのコンサルティングを行っている。