超ヘビーユーザーを徹底調査することで見えてくること
一体、どのようにしてこのような逆転の発想に至ったのでしょうか。
これは私の推測の域を出ませんが、おそらくカロリーメイトを頻繁に食べているヘビーユーザーのなかに、「仕事中は満腹になりたくないから、あえてカロリーメイトを食べている」という人がいたのではないかと思います。
実は、消費者の意識を知るためのインタビューの手法のひとつに、「エクストリーム・ユーザー・リサーチ」というものがあります。ヘビーユーザーよりもさらに上をいくような、その商品をものすごく偏愛している人がいたら、その人に徹底的にその商品の魅力を聞き、そこにチャンスがないかどうかを探るやり方です。
たとえばお年寄りであるにもかかわらず、IT機器を使いまくっている人がいるとしましょう。そのような人が、消費者全体のなかに占める割合は決して多くはありません。しかしそのお年寄りがIT機器を使う目的や、独自に編み出した使い方などを知れば、ITの将来像が見えてくることがある。
集中力を切らしたくない人たち
同じように、カロリーメイトのエクストリーム・ユーザーに、「どうしてそんなに頻繁にカロリーメイトを食べているんですか?」と聞くと、メーカーですら気づいていないカロリーメイトのよさが見えてくることがあるのです。
私はIT関係の仕事をしている人から、「仕事に集中しているときは、食事の時間になったからといって席を立ちたくない」という意見を聞いたことがあります。せっかく集中しているのだから、そのまま作業を続けたい。でも空腹すぎても集中できないので、何か口にしたほうがいいとは思う。でもお菓子では栄養がないし、血の巡りが悪くなるような気がする。かといってコンビニのおにぎりでは、腹が膨れて眠くなってしまう。そういう人たちにとっては、カロリーメイトがまさにちょうどいいのでしょう。そこで「集中力があって、何かを成し遂げるプロフェッショナルは積極的にカロリーメイトを食べる」というイメージをCMで訴えかけることにしたのではないでしょうか。