今、自分が起業したパロアルトインサイトで「AIビジネスデザイナー」として、企業の経営層とソフトウエアエンジニアやデータサイエンティストをつなぐ仕事をしています。これは企業価値を探って、関連性の高いさまざまな情報を集めて分析し、事業に革新を起こしていく職業。AIを理解している人、MBAホルダーで経営を深く学んでいる人が適任です。
人とAIの融合にビジネスチャンスがある
しかしどれだけAIが進化しようと、人間がやることは山ほどあるし、結局使いこなすのは人間です。人間とAIがうまく融合し、どんな時代になっても人に寄り添った仕事をすることにビジネスの価値があると、私は確信しています。
AIどころか、数字にもアレルギーを持つ人が意外に多いと聞きますが、自分の生活や人生に数字をリンクさせると身近なものになるのではないでしょうか。たとえばAIが導きだしたアルゴリズムで“37%ルール”と呼ばれるものがあって、これがとても面白い! たくさんある選択肢の中で一番いいものを選びたい場合に使える確率論です。
転職を例に挙げると、就職先を探す期間を1年とします。37%の135日まではじっくりと会社を見極める期間、そして136日を過ぎたら、それまで見てきた会社の中で一番いいと思った会社を選ぶと、時間を無駄にせず統計学的に見ても一番最適な選択ができるといわれています。何より「たられば」といったような、非合理な考え方をしなくなるのがよいのです。
構成=東野りか 撮影=堀 隆弘
ハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、グーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをリード。その後、HRテック・流通系AIベンチャーを経てシリコンバレーでパロアルトインサイトを起業。データサイエンティストネットワークを構築し、日本企業に対して最先端AIの戦略提案から開発まで一貫したDX支援を提供。AI人材育成にも意欲的で、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)や、東京大学工学部アドバイザリー・ボードを務めるなど幅広く活動している。毎日新聞、日経クロストレンド、ITmediaなどで連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)『"経験ゼロ"から始める AI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)など多数。