AIのアルゴリズムを人間にも応用。人生の大事な選択は、37%ルールで解決できる。
日本の高校を中退後アメリカに渡り、向こうの高校と大学を卒業したのは、日本の画一的な授業や受験勉強に疑問を持ち、本当にやりたい勉強を求めたのが大きな理由です。その後、日本に戻って起業しましたが、私にはビジネスの知識が全く足りていないと痛感。再渡米し、ハーバードビジネススクール(HBS)に入学しました。
HBSでは、会計、財務、マーケティングなどを学びましたが、授業についていくのが本当に大変……。Cold Call(予告なき指名)といって授業中、先生に「トモはどう思う?」と突然指名されるのが、恐怖で(苦笑)。そこできちんと自分の意見を言えないとアウトですから、必死で勉強する毎日でした。苦しかったけれど主体的に勉強したことは、その後の自分の人生に役立っていると思います。
HBSの授業といえば、MOOC(アメリカ著名大学の講義を無料で受けられるオンライン講座)もよく活用しました。名著『イノベーションのジレンマ』で有名なクレイトン・クリステンセン教授の「DisruptiveStrategy(破壊的戦略)」を聴講し2018年に修了。当社のデータサイエンティストが開発した「高速アウトプットPython」も時間があるときに生徒として受講しています。これはPython(汎用のプログラミング言語)を使ってさまざまなアウトプットを作れる講座で、データ分析スキルを身に付けたい人や、データサイエンティストに転職したい人にはおすすめです。
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
●マックス・ヴェーバー著(岩波文庫)
近代資本主義の誕生を記した永遠の名著。経済が持つ大きな意義を知る。
▼愛読書
『聖書』
自分が何をしたいのかではなく、神が自分に何をさせたがっているのか。視点を変えるために読む。
今、自分が起業したパロアルトインサイトで「AIビジネスデザイナー」として、企業の経営層とソフトウエアエンジニアやデータサイエンティストをつなぐ仕事をしています。これは企業価値を探って、関連性の高いさまざまな情報を集めて分析し、事業に革新を起こしていく職業。AIを理解している人、MBAホルダーで経営を深く学んでいる人が適任です。
人とAIの融合にビジネスチャンスがある
しかしどれだけAIが進化しようと、人間がやることは山ほどあるし、結局使いこなすのは人間です。人間とAIがうまく融合し、どんな時代になっても人に寄り添った仕事をすることにビジネスの価値があると、私は確信しています。
AIどころか、数字にもアレルギーを持つ人が意外に多いと聞きますが、自分の生活や人生に数字をリンクさせると身近なものになるのではないでしょうか。たとえばAIが導きだしたアルゴリズムで“37%ルール”と呼ばれるものがあって、これがとても面白い! たくさんある選択肢の中で一番いいものを選びたい場合に使える確率論です。
転職を例に挙げると、就職先を探す期間を1年とします。37%の135日まではじっくりと会社を見極める期間、そして136日を過ぎたら、それまで見てきた会社の中で一番いいと思った会社を選ぶと、時間を無駄にせず統計学的に見ても一番最適な選択ができるといわれています。何より「たられば」といったような、非合理な考え方をしなくなるのがよいのです。