いつ、休校を解除するのか
しかも首相は「春休みまで」と一応の区切りを示しましたが、単純に「キリが良いから」としか読めません。そもそもの始めを何の根拠もなく見切り発車したために、結果的に「一斉休校を終わらせる正当な根拠」を示すことができない状況に陥ってしまいました。
仮に春休みが明けると同時に一斉休校を解除したとして、果たして本当にそれが妥当なのか誰も判断することができません。むしろ根拠無く一斉休校をやめることで「ああ、新型コロナの感染拡大もひと段落したんだな」との誤解を広めてしまい、流行の第二波を引き起こしてしまう懸念すらあります。個人的にはこの段階で全国一律休校という措置を行う必要はなかったと思います。
PCR法について、知っておくべきこと
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な特徴は、入院を必要とする重症から軽症、無症状まで幅が広いことです。感染初期で無症状〜軽症の場合はふつうの風邪と区別がつきません。だからこそ全例検査できる体制を早くつくって欲しいという声もありますが、これは簡単な話ではありません。
実際、3月6日から新型コロナウイルスに対するPCR法が保険適応されることになりましたが、検査を行う手技自体がウイルスを拡散してしまう危険があるため、しっかりした感染防御体制が取れない一般診療所では検査できないのです。
PCR法が100%正確な検査方法で、早期に診断がつき、肺炎に移行させない特効薬があるなら、全例検査の意味はあるかもしれませんが、まだそのような薬はありませんし、そもそもPCR検査は100%正確ではありません。また鼻やのどの奥から検体(PCR検査のための材料)を採る手技の熟練度や検体を採取する部位によっても検査結果が相当左右されるということを多くの人が知っておかねばなりません。事実1回目の検査で陰性だった方が、2回目、3回目の検査で陽性になった例が報告されています。拙著『病気は社会が引き起こす』(角川新書)でも触れましたが、感染症に「かかっていない」ことを証明するのは極めて難しいのです。
本当は感染しているのに「陰性」と判定されて普通の社会生活を送り、知らないうちに感染を拡げてしまう可能性があるわけです。これは非常に危険です。
さらにもし今、審議されている改正特別措置法案が通れば「陽性」者に対する行動制限まで課せられてしまいますね。「陽性」をたてに人権を無視した管理が無制限に行われるうえに、ますます医療現場の混乱と市中感染を拡げることになりかねません。