仕事一筋派、家庭派……多様な人材をどうモチベートするか
ディスカッション後の質問タイムは、次々に手が上がる盛り上がりぶり。いくつかの質問と、東海さんの回答を抜粋しお届けします。
——今、若い女性のキャリア志向は両極端になっているように感じます。キャリアを積み上げるために「結婚や出産はまだ先に」「結婚はしなくていい」と思っている人と、「結婚したら家庭に入りたい」という人。考えの異なる若手女性たちをどう育成していったらいいでしょうか?
「結婚よりもキャリアをのばしたい人、家庭に入りたい人。大別すると2つだけど、実はもっと個別に違うと思いますよ。そのニーズを的確にとらえていかないと。最近は、どういう生き方をしようと自由な世の中になっていますね。二つに分けたり、色をつけたりせずに、個人個人に『どうしたいの?』と聞いてほしい。
それに、何といっても変わりますからね、人間は。仕事ひと筋だった人も、パッといい人に出会ったらそっちにいくかもしれない。人間は変わるという前提からいきますと、そのときそのときをきちんと見ていかないと判断を間違います。一人一人を見ることが大事ですね」
社員一人ひとりの過去・現在・未来を知る
——仕事への向き合い方も多様化するなか、一人一人のやる気を導き出すためには何をするべきでしょうか。ニーズが多様化するなか、制度として対応する難しさを感じています。
「人事にとって大事なことは、人を知ること。過去に何をしてきたか、今何をしているか、未来に何をしたいか。過去・現在・未来を承知しているということが、その人を承知するということです。ただ、なかなかそこまで余裕がなくて、今、成果が出せればいい、という社会になっています。僕らは『君は今までどういうことをやってきたんや? どういう失敗があった? これから何をしたい?』ということをつぶさに聞いてきました。要は人に関心がある、ということ。そうじゃないと。これから難しいんじゃないかな」