トップの考え方が一番大事
男女の区別なく、能力のある人が活躍できる会社にする。そのために早くから登用試験制度、教育制度を整備します。
「『うちは勉強しなければ上にはいけない、給与もあがらない』と会社の方針を打ち出すことが大事なんです。理念としてダイバーシティ、能力主義であることをはっきりさせていました。そして、その理念を整理し、理念を担保するための制度をしっかり作る。さらには、制度を支える職場の風土を醸成する。そこには風土を支えるトップマネジメントがいる。理念、制度、風土、トップマネジメント、この4つがそろうことが非常に大切」
なかでも重要なのはトップの考え方である、と東海さんは指摘します。世間からの評価を上げるために数合わせで女性管理職をつくるようでは、もちろん成果はのぞめません。
「この人にどういう仕事を与え、どういう教育をし、どういうキャリアを歩ませていくか。きちっと見ていく人がおれば、会社は全然問題ないと思いますね」
男女の区別はない、でも配慮は必要
男女の区別はしないという小嶋さんが、女性のキャリアに関わる重要事項として挙げたのが、結婚、出産、育児というライフイベントでした。出産・育児ということがなければ、能力的にも業務の遂行においても、男女を区別する理由はまったくないとしていました。
「小嶋の考えは「仕事に人を」ではなく、「人に仕事を」です。そこで、育児が一段落した女性を『奥様社員』として採用することも始めました。彼女たちは、家族の健康に深く関わる食料品や、生活に密接している雑貨や家電を扱う中で、消費するだけの立場から、商品を見る目、社会を見る目を養い、さらには製造にまで関わることになったのです。彼女たちのなかには、その後、管理職になって活躍した人材もいます」
「小嶋は能力がある、意欲があるということを前提にしていますから。それはある意味では厳しいことですね。また、それぞれの人材の適正をみて、適材適所に配することも大切。区別でもなく、差別でもなく、配慮をしていく。それが上の人間の仕事であろうと思いますね」
講演では、ほかにもさまざまなエピソードが披露されました。真逆の性格であったという小嶋さんと岡田卓也さんにはさまれて、「両方から足を引っ張られた(笑)」苦労話など、情景が思い浮かぶようなやわらかな語り口に、参加者も前のめりに。
東海さんがつくったなごやかな空気のなか、グループディスカッション、そして東海さんへの質問タイムへとプログラムは進行します。