我々凡人は手塚先生の領域まで到達できないとしても、論理思考の最も重要なポイントは論理の飛躍にある。もちろん何でも思いつきで飛躍させればいいというものではなく、飛躍した後の着地点が「なるほど」と思える論理を組み立てなければいけない。

論理の飛躍がない発想では、従来と代わり映えのしないものしか生み出せない。その帰結が90年代以降の失われた20年だった。日本経済が長期間低迷を続けている元凶は、日本人の論理的思考能力の欠如にあると私は考えている。

単にMECEができるだけでは社長の役割は務まらないし、そんなレベルを目標にしていてはいけない。飛躍的でありながらまっとうなものの考え方で、解決策を生み出す能力を身につける必要がある。

この観点からも、良質の論理パズルを解くことは効果があると言えよう。

※問題は逢沢明著『論理力が身につく大人のクイズ』『頭がよくなる論理パズル パワーアップ編』を基に作成。

問1:犯人は誰だ

殺人事件の容疑者として、X氏が逮捕されました。使用されたナイフには、X氏の指紋がべったりとついていたし、X氏にはアリバイもありません。しかも彼には殺人を犯す十分な動機まであったのです。しかし、事件を担当するY刑事は、X氏が犯人ではないと確信していました。なぜでしょう。

問2:アリとキリギリス

アリは夏中働いて、冬の間の食べ物をせっせと蓄えました。キリギリスは夏中楽しく歌って過ごしました。あなたがキリギリスだったとして、その冬をどうやって乗りきりますか。