生涯現役+年金繰り下げで一生安泰

さらに、定年後も働けば年金を繰り下げることができます。日本の年金は65歳受給開始が原則ですが、60歳まで繰り上げると受給額が減らされ(ペナルティを課せられ)、70歳まで繰り下げると受給額は増えていきます(プレミアムを受け取れる)。

70歳に繰り下げた場合の受給額は65歳の1.4倍で、年率に直すと約7%になります。年金の受給権は国家が保証していますから、これは国債と同じで「(ファイナンス理論でいう)無リスク」です。現在のゼロ金利では、無リスクで年利7%の「資産運用」ができる年金繰り下げはとてつもなく有利な投資機会です。

超高齢化社会の到来で、現在、年金を75歳まで繰り下げ受給できるようにすることが検討されています。これは概算ですが、75歳まで繰り下げれば受給額は65歳時点のほぼ倍、受給額20万円の平均的なサラリーマンなら月額40万円ちかく受け取れるようになるでしょう。

この試算からわかるように、「生涯現役」なら老後のための資産形成ができるし、繰り下げによって年金額を増やすこともできます。夫婦そろって「生涯現役+年金繰り下げ」なら、老後の生活はますます安泰です。──そう考えれば、「生涯共働き」を超える最強の人生設計はありません。

60年間働き続ける時代へ

いまの年金制度は、20代前半で就職して60歳まで40年間会社に勤めて支払った保険料で、(「人生100年」として)残りの40年間、夫婦2人で計80年間の生活をまかなうようにはつくられていません。「55歳で引退して60代で死んでいく」平均寿命が短い時期につくられた制度なのですから。

これからは、健康寿命を80歳として、20歳から60年働く時代がやってきます。そしてどんなひとも、60年間も嫌いなことをやり続けることなどできません。

逆に「好きなこと」がはっきりしているなら、これまでの経験や知識を活かして、定年後に「第二の青春」を謳歌することもできるでしょう。そのうえ、たとえ日本国の財政が破綻したとしても、人的資本が生み出す富で生活を支えることができるのです。

人生100年時代の人生戦略は、いかに人的資本を長く維持するかにかかっています。そのためには、「好きを仕事にする」ことが唯一の選択肢なのです。

60代、70代になっても人的資本を維持できるかどうかで、超高齢社会の格差はさらに拡大していきます。もちろん、すべてのひとが生涯現役で働ける「天職」を見つけられるわけではないでしょう。私たちは、「好きを仕事にする」以外に生き延びることのできない残酷な世界に放り込まれてしまったのです。