男女の賃金格差もクローズアップされる
こうした動きは正社員の女性にも影響を与える可能性がある。前述したように今後は正社員と非正社員の格差の合理的説明が義務化される。ということはこれまで曖昧だった給与のあり方を改め、誰もが納得できる仕組みに変えないといけないということだ。正社員間でも男女の給与格差が長年指摘されてきたが、同一労働同一賃金の法制化を契機に男女間の賃金格差の縮小を促していく可能性もあるだろう。
また、給与に付随する昇格・昇進にしても、今までは上司の好き嫌いが多分に影響する要素もあったが、それが厳格化され、あるいは職務給制度になれば、これまで以上に客観的かつ合理的な理由が求められてくるようになるだろう。
同一労働同一賃金の施行が非正社員の権利の保障にとどまらず、男女間の格差の是正につながることを期待したい。
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1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。