キャリアパスを止めない柔軟な働き方を支援
11年にはダイバーシティ推進室も開設され、女性活躍に本格的に乗り出した。柔軟な育休復帰や働き方を可能にするため、保育園に入れない場合や、急な子どもの病気などにベビーシッター代を補助するなど手厚くサポート。短時間勤務や時差通勤の制度も小学校卒業まで利用できる。
テレワーク(在宅勤務)制度とフルフレックス制度が、育児や介護中でなくても利用できるようになり、会社でも柔軟な働き方に進んでいったことも大きかった。特にテレワークは10分単位で利用することができ、09年の導入初期は39人程度の利用だったのが、11年の震災を契機に大きく広がり、18年には5176人で、対象者の8割を超える社員が利用するまでになった。
「早く復帰して働きたい人、長めに育休を取りたい人、それぞれの希望に合わせた復職と復職後の支援の充実で、当事者の女性たちも仕事への意欲が高まったのを感じています。現在では育休後の復帰は100%。復帰後フルモードで働く人も徐々に増えています」
働き方の選択肢が増えたことで、フルタイム勤務で復帰をしても、フレックスや支援策活用でやっていけるということが女性社員自身にも浸透するようになったのだ。すると、その後のキャリアにも展望が持てるようになり、女性たちのモチベーションも自然と上がっていった。
「女性にとってのロールモデルをしっかりつくることが、女性活躍にはもっとも大切だと考えます。柔軟な働き方の導入や積極的な有給休暇の取得など、男女共にマネジャークラスに率先して良き姿を見せるよう実行してもらいました。また、さまざまなキャリアパスや大きなビジョンを描いてもらうためにも、多くの選択肢を若いうちから見せることが大事です」
イントラネットには男女問わずさまざまな年次の先輩や部署の社員インタビューを150人ほど掲載し、仕事の内容からやりがい、苦労、必要な研修までリアルな声を誰でも読めるようにした。
「さらに人事とは独立したキャリアサポート室も整備しました。入社4年目と10年目を対象にしたキャリアワークショップに加え、新入社員全員と部署異動した社員全員、そして希望者向けに個人面談を行って話を聞きます。これは、評価に関係ありません。キャリアカウンセリング資格保持者が個人に合わせたキャリアパスの相談にのってくれる時間として大いに活用されています」